わたくし古舘伊知郎が転生した先はドラゴン大山脈な怪物ひしめく異世界なのでありました!
第29話 私は異世界で人生を終える事になるのかと思いましたが、そこに現れたのはこう…バーサスで考えてもアジェンダ出来るようなお方でしたのでね、こう…実によく出来た展開というか。
第29話 私は異世界で人生を終える事になるのかと思いましたが、そこに現れたのはこう…バーサスで考えてもアジェンダ出来るようなお方でしたのでね、こう…実によく出来た展開というか。
「ガァアアア!!!」
人狼は四足歩行になり、恐ろしい形相で青い騎士に襲いかかろうとする。
お茶が入ったティーカップとポットが置かれたテーブルをジャンプ台のようにして、ショーンKの頭上を跳び越えていく。
カップはひっくり返り、ショーンKの服にお茶がかかる。
「熱ぁ!!」
そしてショーンKは椅子ごと後ろに倒れた。
「あだぁ!」
騎士に噛み付こうと鋭い牙を揃えた口を大きく開け、これでもかと首を前に出したところで、人狼は青い騎士を通り過ぎた。
通り過ぎたのは、真っ二つになったからだ。
慣性でそのまま家の外まですっ飛んで行き、左右に分かれて人狼は絶命した。
ショーンKは終始唖然としてその光景を見ていた。
…横向きに倒れた姿勢になりながら。
「…すごい」
「…」
「何者なんだい?きみは…」
「…」
驚きで素の性格が出てしまっている。
対する騎士は何も答えない。
「と、とにかく助かったよおぉ!!ありがとう!!」
ショーンKは先ほど騎士に襲いかかった人狼のような四足歩行になり、赤ん坊がハイハイするように騎士の足元へ無様にギャンギャン泣きながら近づく。
騎士の足にしがみつこうとしたその時────
チャキ…
「えっ?」
その騎士は人狼を真っ二つにした剣をショーンKに向けたのだ。
「寄るな。お前は人間か?」
初めて声を発した。
「うわっ!にんげんです!にんげんですよ!」
ショーンKは剣を向けられた途端、今度は尻もちをついたような体勢にひっくり返った。
「…そうか。なら良い。家は王国街にあるのか?」
「え、あ、まあそうですねはい。」
『高い声…女みたいだな』
ショーンKは徐々にだが冷静さを取り戻していた。
「ならばついてこい」
『よし。もうボロ出さないようにしなきゃ!』
「分かった。すまないな…ってアレ…」
ショーンKは人狼に殺されかけた恐怖で腰が抜けていた。
おまけに失禁までしている。
体に人狼が襲いかかった際こぼれたお茶がかかっていたため目立ってはいなかったが。
「腰が抜けているのか?仕方ない」
「うわっ」
騎士はショーンKを軽々持ち上げた。
『こんなちっさいのに、なんて力だ!』
「…臭うな。血の匂いもそうだが。小便のニオイがするぞ」
「そうかい?まあ人狼に関して言えば、ですが…体内を斬り裂いた際アンモニアのような臭気を発するというレポートが研究結果としてあるわけです。エビデンスも徐々にですが段階論的な話になってくるんですが。と、私は引いて見て考えていると。まあ人狼とアンモニア、今あなたがまさしく言った通り小便ですね。小便の成分との因果関係というのはこうモビリティ・マネジメント経験則に基づいて、画期的なエビデンスになってると。そういうことですね。」
「言い回しが小難しいが、詳しいな…貴様何者だ?」
「…名乗る程の者じゃないよ」
「只者ではないようだ。あとでじっくり人狼とあった経緯から…いや、生い立ちから聞かせて貰おうか」
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ショーンKとは…
かつて日本で活動していたラジオパーソナリティー、ナレーター、タレントである。
本名は川上 伸一郎。
ハーバード大学やその他名門大学卒という肩書きでテレビで引っ張りだこだった矢先、週刊文春に【テンプル大学卒業。ハーバード・大学卒業。パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌに留学】という経歴は詐称ではないかといった内容で文春砲をかまされた。
その後、所属事務所のサイトでこの件について謝罪し、実際には【テンプル大学ジャパンキャンパス中退】という経歴で、ハーバード大学、パリ大学共にオープンキャンパスへ参加したのみだった事が明らかにされた。
この影響で、出演中、出演予定のテレビ、ラジオ番組からの出演自粛を発表。
その後、放送された特別番組『世界見聞録~モンゴルで経済と豊かさを考える旅』で、久々のテレビ出演をしたが、今後メディア活動を積極的に行う意思はないと表明した。
そしてある日、周囲に何も告げることなく突然失踪してしまっていた。
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