ショーンK 回想

第22話 そうですね。異世界転生というと、何かきっかけがあると思われるのかもしれませんが、やはり事故でしょうか。

 ────ショーンKには中身のないことをそれっぽく意味があるように取り繕える才能があった。




「む?」

 目が覚めると見知らぬ場所。


 森のようだ。

 周りには恐怖を覚えるほどのとてつもなく大きな木が沢山あった。


「ボクはたしか…冷奴ひややっこたべようとしたけどすべって?あの軌道だとおとうふのカドかなあ」


 どうやら豆腐の角に頭をぶつけた事がトリガーとなり異世界転生をしたようだ。


「つまりボクはしんじゃったの??」

 ショーンKは恐怖のあまりパジャマのまま泣き出した。


「どうしたんですか?」

 後ろから声がした。


 ショーンKが声をする方を見ると、カゴを持ち、赤い頭巾を被った少女が立っている。


 その瞬間ショーンKは対人スイッチが入り、直前まで泣いてたとは思えないほどシャキッとし、紳士的な振る舞いになった。


「やあこんにちはお嬢さん」


「あなたはなぜこの場所にいるの?その格好…寝巻きよね」

「そうだね。今、昼寝した後だったんだ。外の空気を吸いたくてね。にしてもこの森はいつだって空気が澄んでいるね。」


「仕事してないの?」

「休みの日があっちゃいけないのかい?」


「別にいけなくないけど…」

「君こそこんな森で何をしているんだい?少女がこんな、怪物が出てきそうな森で、かつひとりで行動するなんて危ないよ」


 少女はギクッとした。


 少女の格好をしているが、実は人狼だったのだ。


 人狼はこの森に迷い込んだ人間をうまい誘い文句でたぶらかし、家に誘っては殺し、食べていた────


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る