王国街編

第20話 国王との謁見を控えていたのですが予想以上に国王軍の人間はクセが強くワタクシ古舘伊知郎もつい悪いクセを出してしまったのであります

 古舘

「魑魅魍魎ともいえるガイコツ共を蹴散らした我々王国騎士団は街へ戻って参りました!」


 古舘は生き残った馬の背に乗りながら実況している。


「あなたは蹴散らしてないし、帝国の人間でもないでしょうが」

 ナスカがツッコんだ。


「古舘さんとナスカって会話の相性意外といいのか……?」

 ショーンKは苦笑いしながら呟く。



 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「……戻ってきた!」

 双眼鏡で偵察している門番が古舘一行に気づいた。

「討伐部隊が帰ってきたぞ!」


 重そうな門が縦にゆっくり開いていく────


 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「それで……このフルタという人間が戦術的助言をしてくれたと。そういうことなのか?ガンバルデウスよ」


 そうショーンKに問うのは、王国の国王であるブリッジ王だ。

 古舘は城内の宮殿に通された。


「はい。こちらの御仁が敗北危機に陥っていたナスカ・ジェードブルーに対し、有効な攻略を的確に、そして端的に口頭で伝授して下さいました。そして────」

「ああもうよいよい!お前は理論的なんだろうがいつも話が長くそして小難しいのだ!」

「は。失礼いたしました。」

 ショーンKは頭を下げる。

 早く話を終わらせたいのであえて小難しくしているのだ。


「ガンバルデウス指揮官の言うことが小難しく感じるのは、国王様がバカだからじゃないんですか」


 ナスカが唐突にスパイシーな発言を国王に対して言う。

「ナスカ!またギロチンの刑に処されたいのか!!」


 国王がキレる。


「誰に対しても毒を吐くんですか。彼女は。」

 古舘は驚き、ショーンKに小声で聞いた。

「はい。これがナスカの平常運転ですね。」


「まだガンバルデウスの教育が足りていないようだな。この怖いもの知らずの小娘をしっかり指導しろ!」


「は。キツく言っておきます。無駄だとは思いますが……」

「あなた方、国王のことちょっと舐めてるでしょう」

 古舘は真顔でツッコんだ。


「『だいぶ』舐めている!」


 国王は顔を真っ赤にし、眉間に血管を浮かせ、そう言う。

 城内の人間を全員処刑宣告しそうなくらい鬼気迫る表情だ。


「今から私と話したかっただろうになんであなた方は闘牛に向けて赤マントを振り回すような行為をするんですか!」

 滑舌良く、かつ早口で古舘はそう言う。


「でぁれが闘牛だっつええ!!?」

 国王は口から白目を向きながら、口から泡を吹いている。


「ああ!私古舘伊知郎火に油を注いでしまったようであります結果的に国王様の心にあるルサンチマンの壺を溢れさせてしまいました!私古舘大変申し訳なく思っております」

「呪文か!?貴様!ふざけているのか!!」

「ふざけてはおりません私の悪い癖実況でありますいちどスイッチがはいるともう止まらない落語家もびっくりの休憩無し台本なしヤラセなしスタントマンなしの生実況でございます実況させたら右にも左にも出る者はいない古舘節ぜひその耳でご堪能ください」


 早口で実況をするという行為は「火事場の馬鹿力」と同じなのでは無かろうかと古舘は今思った。


 追い詰められれば追い詰められるほどアドレナリンが出る。

 アドレナリンが出ているのは目の前の国王もなのだが。


「だーーーーーーー!!!もういい!!お前は牢屋に入れ!!」


 謁見する予定だったはずが何故か投獄されたのであった。


 しかも古舘だけ。


 どうなる古舘。


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