第16話 烈火の炎がごとくヒートアップして実況しているといきなり目の前にヒヨコや星が回っております!まるで夢の国に存在するメリーゴウラウンドといったところでしょうか!

「隊長!ナスカ剣栄に加勢しますか!?」

 ショーンKの部下が問いかける。

「いや私たちが加わったところで逆に足でまといになるのは目に見えている」

「でも!このままでは剣栄が戦死してしまいます!」

 ショーンは唇を噛む。

「なら方法が何かあるのか!?無いだろう!!ナスカを信じるしかないんだ」

「打つ手なしの絶体絶命万事休すですか」

 みなが一斉に声の方向に向く。

 見ると古舘が意識を取り戻し立っていた。

 メガネのレンズにはヒビが入っていたが。

「うるさいんでまた寝てくださ…」

「ガイコツ騎士の弱点が分かりました」

「っ!?」

 また殴ろうとしたショーンKは手を止める。

「ナスカに直接言いますので」


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 エネルギーも先程の居合でほぼ全て使い切り、体に深手の傷を負ったこともあり、ナスカのパワーとスピードはすっかり落ちてしまっていた。



 __これまでか…



 ナスカは諦めかけた。


 その時、古舘はナスカに向かって叫んだ。

「素手で闘いなさい!!!いいですか真に肉を切らせて骨を断つという戦術はですよ!武器を持っていては始まらないのです!どのみちもう打つ手がないなら騙されたと思って私古舘の助言を受け入れてみてはいかかでしょうかナスカ!!!」


 あまりにも突飛な発言に、ショーンKをはじめ周囲の人間は古舘ついに血迷ったか、という反応をしていた。

「素手!?古舘さん本気ですか!?」

「自殺行為推奨してどうするんですか!!!」

「さては殴った時に頭おかしくなりましたね!?」

「問い合わせ殺到まるで戦場のテレフォンショップでありますが私はふざけているわけでもナスカにも死んで欲しい訳ではありません。頭はもともとおかしいかもしれませんがね」


 古舘のひと通りの早口で滑舌のいい実況助言は、ナスカの耳にしっかり届いていた。


────さっき助けられたし…説明も的確だった


 ────この男は信用できるかもしれない


ナスカは剣を捨てた。



次はホントに決着か。続く。

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