第10話 近付いてきたのはかつての現実世界で共演した同志でありまして予想外のばったり再開をすることになろうとはおもいませんでした!!

 ────「事務所の人間が自宅に尋ねても居なくて!」




「やっぱり古舘さんですよね!?」


 指揮官はそう言って乗っていた馬から降り、こちらに近付いてきた。


 人間軍が来てから今の今まで木から半身になって見ていたが、指揮官が近付いて来たことに気付いた古舘は木に身体全部を隠した。


「何も隠れることないじゃないですか!僕ですよ!」


 古舘は恐る恐る顔をそっと出した。


「覚えてますか?」


 指揮官は自分の顔を指さす。


「……」


 その男の顔は彫りが深いので、異世界の住人だろうと見た瞬間は思ったが、段々と久しい顔に見えてきた。


「まさか…ショーンKさん?」


 いきなり男は抱きついてきた。

「そうですそうです!!ショーンです!報道ステーション以来ですね!!」


 古舘からすればまさかの再会だった。

 ショーンKはハーバード大学出身という肩書きで報道番組によく出ていたが、その経歴が詐称だったことを週刊誌にリークされてから古舘との共演が皆無になっており、その矢先例の失踪事件が起こっていたので自暴自棄になったのではないかと古舘は心の奥で大変に心配していたのだ。


 やっぱり映画の撮影だったんだ、と古舘は安堵した。


「あ、あのショーンさんあのね?聞きたいんだけどこれ映画とかの撮影なんでしょ?」


 古舘が聞くと、ショーンKは抱きつくのを止め、顔を離した。表情は暗くなっていた。

 そして両手を古舘の両肩にのせ、真剣な口調で話始める。


「古舘さん。信じられないかもしれませんが、これは映画の撮影ではありません。そして夢でもなければ、おそらく天国でもない」


「世界観まで詐称するんですか!?」

「これはホントなんですよ!」


 ショーンKは今にも泣きそうだ。

 その表情を見た古舘はショーンKが嘘を言っているとは思えなかった。

 まあ信用はしていなかったのだが。


「じゃあこの場所は…この国は…この世界は何だというんですか!?」


 古舘が語気を強くして問うと、ショーンKはにわかに信じ難いことを口走った。


to be continued...

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