第4章 デート 第4節 大切に守りながら

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 児童養護施設で働いている理由は、

子供相手なら

このようなことにならないからであろう。


 二郎じろうは病的とも言えるほどの

純情であった。



 二郎がトイレから

戻って来るのが見えた。


 トイレに行っている間に

春巻きは片付けてしまい、

沙恵さえ炒飯チャーハン紅生姜べにしょうがをのせ、

レンゲで炒飯と紅生姜を軽く混ぜていた。



 「ふう~、お腹いっぱいになったね。」


 二郎は落ち着かない様子であったが、

さも落ち着いているかのように振舞った。


 『餃子の王将』は

いつも混んでいるので、

空気が薄くなる。


 外に出た2人は、

満腹感に満足しつつも

酸素を大きく吸い込んだ。


 (今夜はまだ、

何もしない方がいい)


 沙恵はそう思い、

本厚木駅中央口への

横断歩道の方向に歩きだすと、

二郎はすぐに横に並んで、

一緒に歩いた。



 ホームで電車を待っていると

『特急新松田行』が来たので、

2人で乗った。


 2人は渋沢駅で降りた。


 「トイレ行きたい。」

 沙恵が言うと、

 「俺も。」

となって、

2人ともトイレに行った。



 2人で自宅に向かう途中、

二郎の方から、

次のデートの約束を切り出した。


 10月11日の火曜日にしよう、

場所はLINEで決めよう、

ということになった。

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