第4章 デート 第4節 大切に守りながら

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 「私は、犬と猫なら、

猫の方が好きなの。

猫を飼いたいと思っていた時も

あったんだけど、

今はハムスターにはまってるの。」


 「ああ、ハムスターか。

可愛いよな。

『ひばりの家』でも飼って…。」


 そう言って沙恵さえを見ると、

沙恵が春巻きを

口に入れようとしているところだった。


 二郎じろうは急に真っ赤になって、

涙目で下を向いてモゾモゾしていた。

 

 (相変わらず、純情か)


 沙恵は二郎を、

あまり刺激してはいけないと思い、

二郎が見ていないタイミングで

春巻きをぱくつくようにした。


 「ちょ、ちょっとトイレ…。」

 二郎が席を立ち、

トイレの在りかを店員に聞いてから

トイレに行った。


 (はぁ。

二郎の純情って、

度を越してるのよね。

相変わらずか)


 二郎の前では、

春巻きも食べられないのか、

と思い、

沙恵はクスっと笑った。

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