第4章 デート 第3節 賭けてみたいもの

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 一方、沙恵さえは、こう考えていた。


 二郎じろう

女性と付き合ったことがないらしい、

とは母親から聞いていた。


 正直、

幼馴染おさななじみ

としてしか意識してこなかった。


 二郎は女性に対して、

恋愛妄想を抱きがちな男性

ではないことは間違いないが、

かといって同性愛者寄り

でもないのだろう、

多分、

と想像する程度だった。



 沙恵の元職場の人間たちが

職場でとってきた言動と、

二郎の美しいこころざしとの相違は、

あまりにも顕著けんちょであった。


 コントラストが

乖離かいりしすぎたせいもあるだろうが、

二郎が人間として、

そして男としても、

とても素敵に思えた、

焼き肉屋での久々の再会。

 

 しかし、沙恵には

結婚願望がないことを、

すでに沙恵の母親が、

二郎の母親に

話してしまった後かもしれない。

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