第2章 再会  第2節 楽しい食事

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 「皮膚科医として働きたい、と、

思ってもいるんだけど、

今は『ひばりの家』の子供たちのケアのことで

頭がいっぱいなんだ。」


 「『ひばりの家』?」


 「児童養護施設なんだ。

重篤じゅうとくな疾患を持っているにもかかわらず、

親御おやごさんと連絡が取れなくなってしまった

子供たちもいてね。

いろんな事情を抱えた家族がいるんだよ。」


 「そうなんだ。」


 「かかりつけ医は定期的に

診察に来てくれるんだけど、

月に数回で済むような

疾患じゃないケースもあってね、

できることなら毎日診てあげないと、

命にかかわる場合もあるからさ。」


 「毎日って。忙しいね。」


 「さすがに毎日は行ってないけど。

何かあったらすぐ呼んでくださいって

言ってある。」


 「救命救急センターだね。」


 「まあね。」



 ビールジョッキが2つ、運ばれてきた。


 「再会を祝して、かんぱーい!」


 沙恵さえ二郎じろうのジョッキに

自分のジョッキを近づけて、

嬉しそうに言った。


 「あはははは。」


  二郎も嬉しそうに声を出して、

ゆるんだ表情になって笑った。

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