【KAC20231】性癖本屋

@dekai3

性癖本屋

 人住む所に物語あり。

 人育む所に書物あり。 

 物語と書物あれば、それ即ち本屋あり。






色   ア

々 本 リ

な   〼



 都会から電車でやや離れた場所に位置するベッドタウン。

 人口の割には地元に住む人間が利用しない為、いまいちパッとしない商店街の片隅にその本屋はありました。

 店名は特に書かれておらず、入り口の横に置かれた手書きの看板に上記の文字が立派な草書体で書かれています。


 中は昔ながらの本屋という装丁で真っすぐに本棚が並んでいて、天井まで所狭しと様々な本で埋まっています。

 本は本棚だけではなく棚に平起きされた本の上にも別の本が乗っていたり、通路の真ん中にカートが置かれて積まれていたり、本棚と本棚の間に板を通して置かれていたり、床に段ボールを敷いて置かれていたりと、奥に行くにつれて段々と乱雑になっています。

 本の種類も様々です。文庫本もあれば週刊誌や月刊誌もあり、グラビア写真集や辞典や個人出版の本もあり、凡そ『本』と呼ばれるものはなんであれ詰め込んだ空間と呼ぶ方が近いのかもしれません。

 そんな本の回廊の奥、もはや蛍光灯の光までもが本に遮られた遺構の淵に、彼女は居ました。


「おや、お客さんですか。いらっしゃい」


 年のころは不明ですが若く見え、背格好は中肉中背でやや猫背。ぼさぼさの髪の毛をヘアバンドで後ろへ垂らし、服はサイズの合っていないパーカーを着ています。

 そして、一番目立つのは大きな眼鏡。顔の半分を覆う程の大きな丸眼鏡をかけているのが特徴です。


「よくこんなところまで来ましたね。とりあえずこちらhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054886738987をどうぞ」


 彼女はそう言うと、クーム系天然アルラウネ娘人外ママ物のネット小説を差し出してきました。


「それとも、こっちhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054934641517がよかったですか?」


 今度は、女装ミニスカゴス侍のキンタマ攻め小説を差し出します。


「こんなところにまで来た人ですと、だいたいはこの二つのどちらかに反応するはずなんですがね」


 そう、ここは性癖が色濃く書かれた本が集まる性癖本屋。

 扱う物は物理本に限らず、データでも扱っています。


「それとも、まだ世に出ていない新しい物をお望みでしたか?」


 彼女はそう言うと、眼鏡をつるを指で押し上げつつ、卓上に年代物のカレンダーを置いてめくります。


「そうなると…次のお題は3/3の12:00に発表だから、それを待って貰えますか? その時またこのカクヨムに来てください。きっと新しい性癖小説が書かれているから」


 カレンダーに記された日付は3/3。赤い文字で書かれたのは12:00。後は意図的に削り取られた空間となっています。

 そう、お題は当日発表ですからね。


 それでは、また明日。

 若しくは、明後日。

 お題を元に作られる性癖小説で会いましょう。

 本屋とは一旦お別れ。


「またのお越しをおまちしております」

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