第30話 らいかんさん心配する。


「先生!らいかんさん!師匠が、師匠が目覚めたわ!!!ふええええん。」


残念な病気の女性が、笑顔と泣き顔で、ぐちゃぐちゃな表情をして、部屋に悲鳴とも言える歓喜の言葉とともに飛び込んできます。


しかし、せっかく綺麗な顔なのに、本当に残念な鼻水の量ですね……。

恥ずかしくないのでしょうか。


 ◇


「そうだろう。そうだろう!あれで治らない病はほとんどない。何せリファイン草に桜ラビットの花びらを混ぜて調合したエリクサーだからな。」


「え……。桜ラビットって。えりくしゃ……あ?」

……また、うましかな発言してますね。このうましかんこ。


「あら。教授。手を抜いたのです?桜タイガーじゃないなんて。」

「え……。手を抜いた?はぁ?桜タイガーああああ?」

……五月蠅いですね。


「それがなぁ。今年は、桜アニマル討伐が出来る冒険者が少なくてな。」

「あぁ……。加護が降りた冒険者がハズレだったのですか。」


「それじゃあ、ローレンハルトの小僧は困っているんじゃ?」

「ふぇ?」 


「スミッツの鼻垂れも、桜狩りに騎士団派遣みたいな事態になりそうで、そわそわしているのではないですか?」

「ふぇ?」 


「そうだな。その内ひとりは、桜狩り向かって病になっちまったしな。」

「ちょっとまって。ローレンハルト?スミッツ?ってまさか……。」


また、ふぇふぇ言い出しましたよこの人。はぁ……(心底嫌な溜息

何でそんなに興奮しているのでしょうか?欲求不満ですか?

顔かわいいのに本当残念です。


それに、スミッツはあなたの直属の上司でしょ?

ローレンハルトを知らないなんって非国民にもほどがありますよ?


 ◇


それにしても、桜狩りが出来ていないとなると、いろいろと問題ですね。

大丈夫なのでしょうか。少しだけ心配ですね。

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