3月19日 決着と勃発


 朗報がある。コメツブツメクサかコメツブウマゴヤシか問題、結実を待つまでもなく決着した。コメツブウマゴヤシを発見したのだ。


 黄色く丸い花をつけている、コメツブツメクサに非常によく似た草。その葉の裏に、棘状の器官があった。これこそがコメツブウマゴヤシ。コメツブツメクサにはない棘(棘状の葉なので、痛くはない)がある。

 危惧していたような、棘か棘じゃないかよく分からないような形状ではなく、ひと目見たらすぐに棘だと分かるような形状をしていた。これだ! これだー!


 とうとう、「葉の裏にある棘」の実物を見ることができた。ということは、私はこれまで「コメツブツメクサかもしれない……」と自信なく思っていたあの植物たちは、やはりコメツブツメクサだったのだ。だって、彼らの葉の裏に、こんな棘はなかったのだから。


 もの凄く興奮した。写真を撮ったので、気になる方は作者Twitterをチェックされたし。道端にしゃがみ込んで撮影している間、すぐそばの空き地に(ネズミ捕りをしていたらしい)パトカーが駐車しており、無駄に緊張したことをついでに記しておく。何も言われなかった。



 今日は、みかんちゃん植え替えのためのプランターと土を買いに行ったのだが、その道中でコメツブ問題があっさり解決するとは思いもしなかった。最高の休日と言わざるを得ない。


 引き寄せの法則、なるものがある。「強く願うことで幸運や成功を引き寄せる」というもので、スピリチュアル的な真偽のほどはともかくとして、「毎日毎日そのことばかり考えていると、日常の中に潜むわずかなヒントが目にとまりやすい」というのは確実にあると思う。

 コメツブツメクサなのか、コメツブウマゴヤシなのか。そのことをずっと考えていたからこそ、そして黄色い花の葉っぱを片っ端から裏返していたからこそ、私はとうとうコメツブウマゴヤシに出会えたのだ。


 コメツブどっちなのか問題は決着したが、せっかくなので結実までしっかり見届けようと思う。そして、可能ならば採種しよう。



 さて、コメツブ問題は無事に解決したが、新たな問題が発生した。

 本日の散歩中、コメツブウマゴヤシを見付けてホクホクしていた私は、もうひとつ黄色い花の群生を発見した。何も考えずに近寄って、葉を裏返そうとしゃがみ込む。そこで、ふたつの違和感を覚えた。


 まずひとつ、コメツブツメクサやコメツブウマゴヤシは地面を這うように茎を伸ばしていたのに対して、この草は空の方へと立体的に伸びあがっている。

 そしてふたつ、花が長い。コメツブコンビは黄色い小さな花が集まって丸い毬上になっているのに対して、この草の花は毬上ではない。黄色い小さな花が集まっているところまでは同じだが、その群が少し細長いのだ。

 ……第三勢力だ。


 買い物をして家に帰り、さっそく調べてみる。そうすると、ふたつの候補が浮かび上がった。クスダマツメクサとテマリツメクサだ。

 そう、コメツブ問題が解決したと思ったら、今度はツメクサ問題が勃発したのだ。しかし、クスダマツメクサの花もテマリツメクサの花も、それほど細長くは見えない。両者の違いもよく分からない。

 今日私が見たあの花は、いったい何という名前だったのか? そういうタイトルのアニメが昔、あったような気がする。なんだか混乱してきた。

 クスダマツメクサとテマリツメクサは、一応「小葉に葉柄があるかないか」で見分けられるらしいが、正直もうこれ以上はお手上げ、ちんぷんかんぷんだ。取り合えず、こちらも結実まで待ってみようと思う。



 ひとつの問題が解決したと思ったら、また別の問題が勃発する。雑草、奥が深い。

 雑草の深淵を覗いたとき、雑草も確実にこちらを見ている。そして、「さてお前に見分けがつくかな?」と、挑発的に囁いているのである。


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