3月8日 コメツブなんとかさん


 確認してきた。


 何を、と説明する必要は恐らくないだろう。もちろん、コメツブなんとかさんが、コメツブなんなのかを、だ。

 道端にしゃがんで、黄色い花をつけている植物の葉っぱの裏を、よく見てみる。


 結果……葉っぱの裏に、棘っぽいものは無し! この植物は、コメツブツメクサだ!



 ……ほんとかなあ?


 不安である。ふたつのものの違いを見るには、ふたつ並べて調べるのが定石だ。というか、そういうふうにしなければ、たいてい間違える。


 通勤路には、黄色い花の群生が3、4箇所あるのだが、そのどれも、葉っぱの裏に棘らしきものは確認できなかった。しかし、本当にそうだろうか。


 もしかしたら私が見逃しているだけで、ちゃんと棘があったのかもしれない。そうなると、私が見たのは全てコメツブウマゴヤシだということになる。盛大な勘違いだ。



 不安なので、確認項目を増やすことにする。


 どうやらコメツブウマゴヤシより、コメツブツメクサの方が葉の大きさや背丈など、全体的に小ぶりらしい。

 しかしここにも「より」という壁が立ちはだかる。比べないことには分からないのだ。


 次に、両者は種の形がかなり違うらしい。これは有力な手がかりになるかもしれない。


 コメツブツメクサは、枯れた花が種を包み込み、種はその中で成熟するという。

 対してコメツブウマゴヤシは、枯れた花はそのまま落ち、黒い種ができるらしい。


 なるほど、かなり違う。この点を調べれば、私が毎春見ている花が、コメツブなんなのかがようやく分かる。


 種をつけるのはいつごろだろうか。花が終わるタイミングを見逃さないように、しっかり目を見はっていようと思う。



 春の移ろいは瞬きの間だ。ホトケノザが咲いたかと思えばスミレが咲き、ノギクが咲く。今はミモザが見頃だが、来週末にはもう時期は終わっているだろう。


 ハナニラが咲き、フリージアも咲いて、そうこうしているうちにハナミズキも咲く。春って、案外忙しい。


 見たい花はたくさんあるけれど、今年はコメツブなんとかさんに注目していよう。種がつくのが楽しみだ。



 

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