プチコフレ(4)

「マダム、リュミエラ」

 突如として、ケビンの声色が凍り付いた。

「……無礼を、申し訳ありません。ケビン様」

 私はお客様に頭を下げた。

「マダムリュミエラ!?」

 ルフレが目を泳がせている。

「ルフレ、申し訳ないけど、裏に下がっていてください」

「でも私はっ……!」

「この新米のブスは……、お前が入れたのか?」

「……ケビン様」

 私はケビンを見つめた。

「……スタッフの、礼を欠く態度、申し訳ありませんでした。責任者として、ケビン様のお話は私が伺うべきです。ですが、スタッフを個人的に傷つける言葉を発せられる場合は、警備隊を呼びますよ」

 あっ……、と小さくルフレが呟いた。

 ケビンはギリギリと歯を噛み締め、私を見つめている。

「ケビン・リスタカマーク様……権限のない私が、申し訳ありませんでした……」

 ルフレは深々と頭を下げたが、ケビンはいら立ちをぶつけるのをやめなかった。

「お前なんかどうでもいいんだよ!とにかく早く出せ!スーベニアランタンを早く!出せよ!!使えないな!」

「ケビン!」

 法を守らない子どもは、お客様ではないのです。

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