第10話 カッコいい鳥達

カナリーがスケッチブックに書いた鳥は……


「何ですか、その鳥?頭のてっぺんが黄色……」

ガラがそう聞けば、カナリーが鳥の絵の隣に名前を書いた。

『キクイタダキ』


「なんで『キクイタダキ』って名前か、わかりますか?」

「えー……キクイタダキ……き、くい、ただき……」

ガラがポンッと手を叩く。

「木食い!?木を食っちゃう鳥ってことですか!?」

「残念!」

カナリーがそう言うとガラは肩をガックリ落とした。

「正解は……『菊頂き』です」

「え?花の菊?」

「はい!頭の頂点が黄色で菊の花みたいだから、菊頂き……キクイタダキ、です!!」

カナリーがそう説明すると、ガラは「ほえ~」と言いながら頷いた。


「で?このキクイタダキが何だって言うの?」

ガラがそう聞けば、カナリーは何故かどや顔する。

「ふふふ……ガラ様、このキクイタダキ、別名をご存知で?」

ガラは首を横に振る。

「なんと!!『鳥の王』と言われているのですっ!!」

「すっげぇ!鳥の王!?めっちゃかっけぇ~!何でそう言われるの!?」

「頭のてっぺんの黄色の部分が菊にも見えますが……王冠にも見えるため、鳥の王と言われるようにもなったのです!」

カナリーはさらに話を続ける。

「そんなわけで……ガラ様。イメチェンするのも良い案かと!」

「なるほど!じゃあ、金ピカでキラキラにすればいいか!?」

「うーん、それは何だか成金っぽいんで……シュッと!スマートでエレガントな路線をおすすめします!」


そこで、カナリーはふと何かを思い出した。


「そうだ……エレガントで思い出したのですが……ガラ様は、ワシとタカの違いをご存知ですか?」

「ワシとタカの違い?えぇ……?大きさ、とか?」

「!!そうです、大きさなんです!」


カナリーはサラサラッとスケッチブックにワシとタカのイラストを描いた。


「ワシとタカはどちらも猛禽類です。体が大きいのがワシで、中型から小型のがタカですね」

「へぇーサイズの違いで区別されてんだ」


そこでカナリーの瞳がキラリと光った。


「ふふふ……ガラ様、猛禽類のワシとタカって……生態系の頂点に立つ生き物なんですよ!!」

「あーなんか本で読んだことあるわ。ハッ!!頂点!そうか、ワシとタカもすっげぇヤツなんだ!」

ガラの瞳もキラリと輝く。


「生態系の頂点に立つ猛禽類……そのため、猛禽類は強さ、速さ、権力、高貴さの象徴となっています。ワシやタカがデザインされた物をお守りとして持ち歩くと良いと思います!」

カナリーがそう説明する頃には、ガラの表情はやる気に満ちていた。


「カナリーさんっ!アドバイスありがとうございましたっ!!なんか、ぼやぁっとしてたオレの夢が!ちょっとハッキリしてきました!!オレ、絶対にすっげぇヤツになって世界を羽ばたいていきますっ!!」

ガラは元気いっぱいにそう言って、意気揚々とこの相談室を後にした。



「カナリーさん~!ありがとう~助かったよぉ!」

シエルがカナリーの手を取り、お礼を述べた。

「一体、どんなアドバイスをするかと思ったら……相変わらず、カナリーちゃんらしい面白いアドバイスだったわね」

リリィもニッと笑ってカナリーの方を見た。


カナリーは「お役にたてたなら良かったです!」と言って、照れた様に笑った。

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