第2話 ぼくと付き合いますか?

ある日のことである。進は電気治療をセットしてもらいながらいつもの様に軽く


「ぼくと付き合いますか?」


と声をかけた。


「付き合ったらどうにかしてくれるんですか?」


芽衣子のその答えには、今の芽衣子の不安や他人に言えない希望が複雑に盛り込まれている様で、進は「いや、それは無理」と答えるしかなかった。 芽衣子はその答えにやっぱりという様な、そしてまたホッとした様な表情を見せて、さっさと次の患者さんのところへ向かった。


◇◇


それから数ヶ月が過ぎ、いつもの様に進のリハビリが済むより先に『お疲れ様でした。お先に失礼します』と帰る芽衣子であったが、進は何か様子が変だなと思った。


――あれ? 何か言いたそうな感じで帰って行ったな、どうしたんだろう?


それからまた1ヶ月、なかなか芽衣子に会えない進は、芽衣子が看護助手を辞めたことを他の看護助手から聞かされた。


そしてまた9ヶ月。道でお互いの車同士すれ違う時に手を振り合うことはあっても面と向かって会うことはなかった。もちろん、ここの整形外科でも再び会うことはなかった。 だからといって妻子持ちの進が芽衣子を捜し回ったり追いかけ回したりする訳にもいかず、もんもんとする日々が続いた。

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