危険度:測定不能 襲撃 下

(——目の前が真っ暗だ。……そうか私あの光で死んじゃったんだ)


何が起きたのかすら分かってない。ただ目の前に光の球体が現れたって事くらいしか私には分からないまま死んじゃったのかも。


(何だか疲れたし、それに死んでるんだし、ちょっとくらい寝てもいいよね)


犯人あの人が目の前にいた時、すごく緊張してたのが無くなって眠くなった気がする。あんな事があったんだし、寝たって罰が当たるなんてこと無いでしょ。


「——う……体中痛いな……一体何が——」


体の痛みで目が覚めた。あまりの痛さに起き上がれないけど、顔だけでも動かして自分の体と周りを見回す。


「あれ?これなんだろ……?」


足の方が見慣れない黒い何かで包まれていた。それもどんどん無くなって、自分の足が見えてるんだけど、これのおかげで助かったのかもしれない。

あの場に居た私を入れての四人の中でこれを出来るのは一人だけ、きっと最中ちゃんがこれをやったんだ。


上半身の痛みが無くなり始めて、動かせるくらいにはなってたから、とりあえず体を起こしてみんながどうなったのかを確認する。

最中ちゃんが私と同じことをみんなにもやってたなら、もしかしたら全員無事かもしれない。みんなの姿が見当たらないのは、瓦礫の中に埋まったのか……それとも上手く逃げれたのかのどっちかだと思う。


(とりあえず……みんなの事探さなきゃ)


「——へぇ。まさかお前みたいな子供が生き残るなんてな。仲間のおかげか?」


背筋がゾッとする声が聞こえてきた。

お兄さんを探しにどっかに行ったのかと思ってたら、まだメインホールこの場所に残っているとは思ってなかった。

瓦礫の上に座ってこっちを見ていたが、表情を変えずゆっくりと向かって来た。


(早く逃げないと——今度こそ殺される……!)


足はまだ痛いけど、お兄さんのいる研究室まで行くしかない。どっちにしろ死んじゃうかもしれないけど、ここにずっと居るよりも絶対いいはず。

それに……使える能力ものは使わないと……でもお兄さんには私の能力は一切効かなかったけど、この似た人はどうなんだろう?

……もしかしたら役に立つかもしれないし、使っても損する事は無いだろうし。

研究所の出入り口を見ると、爆発のせいで通れなくなっているのが見えた。けど近くの壁が崩れてて通れるようになってる。あそこから研究所に入るしか他に道は無い。


まだ痛い足を無理やり動かして研究所に続いてる穴に向かうと——


「はははっ!鬼ごっこ……ってやつかぁ?暇だから付き合ってやるよ。死なないようにちゃんと逃げないとな?」


そう言い終わると同時に、私のすぐ後ろで爆発が起きた。


「うわッ……!」


強い爆風を受けた私は前へ吹っ飛んで転がった。その時にとがった破片で手と足が切れちゃったけれど、運がよかったのか穴の近くまで来ていた。


(なんだ、もう終わりか……まぁいい。さっさと始末して探すか)

(——私のいる所を爆発させる気だ!)


私のいるすぐそばに白い球体が現れて、一気に大きくなっていく。急いで立ち上がって研究室の穴に飛び込むと、大きな爆発が起きて壁が崩れた。

怪我をして痛いなんて泣いてる場合じゃない……!

たとえ何があったとしても立ち止まっちゃダメだ。急いで行かないとちょっとでも止まったりすれば絶対に死んじゃう。


「おー。あいつ子供のくせに粘るな……。まぁ、探すついで暇つぶしにちょうどいいか」




「追ってくる姿は見えないし、離れたところまでこれたみたい。——そういえば誰もいないみたいだけど……避難したのかな……?」


走りながらドアの開いてる研究室の中を見ても、誰もいるようには見えなかった。色んなものが廊下に散らばってるし、みんな急いで逃げたのかもしれない。

爆発の影響なのか研究所のライトはチカチカと点滅している。これは電気が来てないって事だったりして……お兄さんのいる部屋が開くか不安になってきた……。


でも、引き離して一安心してたところに突然、後ろの通路で爆発が起こった。

後ろを見て確認しなくたって分かる。あいつは通路を歩かずに邪魔な壁を壊してくるつもりなんだ。


(なんでどこも複雑な設計してんだか。追うのも面倒だ……さっさと始末するか)


私とあいつの間の通路に球体がいくつも出現したそばから爆発が起き始めた。爆発は私から一番遠いところからで、爆風は受けたけど通路を曲がって巻き込まれる事は無くて怪我もしなかった。


「はぁー……はぁー……やっと着いた。電気は通ってるみたいだけど——」

(茜!)

「毛玉……!逃げたんじゃなかったの?」

(逃げてたけど爆発があったから探しに来てやったんだ。ん?……なんだこの匂い?ご主人と同じような匂いだけどなんか違うな)


仲間が見つかって少し安心したけれど、また爆発が起こり壁が崩れていく。しかもそんなに離れてない場所に大きな穴が開いた。


(爆発だ!危ないぞ茜。何か来る)

「——分かってる!だから早くここを開けないと……!」

(あいつがあれか。ご主人じゃないと倒せないってやつなのか。……どうした?開かないのか?)

「いや……開いたんだけど故障してるみたいで、ちょっとしか開かなくって通れないんだよ!」


不安だった電気も通ってたし、ロックも解除できたのに開いたのは手が入るくらいの隙間だけ。爆発の影響で自動ドアの機械が壊れたのかもしれない。

手を突っ込んで無理やり開けようとしても、私の体重をかけたところでびくともしなかった。時間をかけたら開けられると思うけど……そうもいかないみたいだ。


「もう逃げるの止めたのか?……いや、違うな。ここだろ?あいつがいるのって」

「う……もう来ちゃったのか」

(あいつがご主人の敵なんだな。……絶対に強いぞ。あいつは)


あいつは最初と変わらず、散歩するような速度で歩きながら、壁に開いた穴から姿を見せた。私と毛玉を交互に見るその表情に変化は無く、私たちを見てるようで見ていない。見てたのは私の後ろにある、研究室の壊れた出入口だ。


(おい!壁に球が真っ暗だ。……そうか私あの光で死んじゃったんだ)


何が起きたのかすら分かってない。ただ目の前に光の球体が現れたって事くらいしか私には分からないまま死んじゃったのかも。


(何だか疲れたし、それに死んでるんだし、ちょっとくらい寝てもいいよね)


犯人あの人が目の前にいた時、すごく緊張してたのが無くなって眠くなった気がする。あんな事があったんだし、寝たって罰が当たるなんてこと無いでしょ。


「——う……体中痛いな……一体何が——」


体の痛みで目が覚めた。あまりの痛さに起き上がれないけど、顔だけでも動かして自分の体と周りを見回す。


「あれ?これなんだろ……?」


足の方が見慣れない黒い何かで包まれていた。それもどんどん無くなって、自分の足が見えてるんだけど、これのおかげで助かったのかもしれない。

あの場に居た私を入れての四人の中でこれを出来るのは一人だけ、きっと最中ちゃんがこれをやったんだ。


上半身の痛みが無くなり始めて、動かせるくらいにはなってたから、とりあえず体を起こしてみんながどうなったのかを確認する。

最中ちゃんが私と同じことをみんなにもやってたなら、もしかしたら全員無事かもしれない。みんなの姿が見当たらないのは、瓦礫の中に埋まったのか……それとも上手く逃げれたのかのどっちかだと思う。


(とりあえず……みんなの事探さなきゃ)


「——へぇ。まさかお前みたいな子供が生き残るなんてな。仲間のおかげか?」


背筋がゾッとする声が聞こえてきた。

お兄さんを探しにどっかに行ったのかと思ってたら、まだメインホールこの場所に残っているとは思ってなかった。

瓦礫の上に座ってこっちを見ていたが、表情を変えずゆっくりと向かって来た。


(早く逃げないと——今度こそ殺される……!)


足はまだ痛いけど、お兄さんのいる研究室まで行くしかない。どっちにしろ死んじゃうかもしれないけど、ここにずっと居るよりも絶対いいはず。

それに……使える能力ものは使わないと……でもお兄さんには私の能力は一切効かなかったけど、この似た人はどうなんだろう?

……もしかしたら役に立つかもしれないし、使っても損する事は無いだろうし。

研究所の出入り口を見ると、爆発のせいで通れなくなっているのが見えた。けど近くの壁が崩れてて通れるようになってる。あそこから研究所に入るしか他に道は無い。


まだ痛い足を無理やり動かして研究所に続いてる穴に向かうと——


「はははっ!鬼ごっこ……ってやつかぁ?暇だから付き合ってやるよ。死なないようにちゃんと逃げないとな?」


そう言い終わると同時に、私のすぐ後ろで爆発が起きた。


「うわッ……!」


強い爆風を受けた私は前へ吹っ飛んで転がった。その時にとがった破片で手と足が切れちゃったけれど、運がよかったのか穴の近くまで来ていた。


(なんだ、もう終わりか……まぁいい。さっさと始末して探すか)

(——私のいる所を爆発させる気だ!)


私のいるすぐそばに白い球体が現れて、一気に大きくなっていく。急いで立ち上がって研究室の穴に飛び込むと、大きな爆発が起きて壁が崩れた。

怪我をして痛いなんて泣いてる場合じゃない……!

たとえ何があったとしても立ち止まっちゃダメだ。急いで行かないとちょっとでも止まったりすれば絶対に死んじゃう。


「おー。あいつ子供のくせに粘るな……。まぁ、探すついで暇つぶしにちょうどいいか」




「追ってくる姿は見えないし、離れたところまでこれたみたい。——そういえば誰もいないみたいだけど……避難したのかな……?」


走りながらドアの開いてる研究室の中を見ても、誰もいるようには見えなかった。色んなものが廊下に散らばってるし、みんな急いで逃げたのかもしれない。

爆発の影響なのか研究所のライトはチカチカと点滅している。これは電気が来てないって事だったりして……お兄さんのいる部屋が開くか不安になってきた……。


でも、引き離して一安心してたところに突然、後ろの通路で爆発が起こった。

後ろを見て確認しなくたって分かる。あいつは通路を歩かずに邪魔な壁を壊してくるつもりなんだ。


(なんでどこも複雑な設計してんだか。追うのも面倒だ……さっさと始末するか)


私とあいつの間の通路に球体がいくつも出現したそばから爆発が起き始めた。爆発は私から一番遠いところからで、爆風は受けたけど通路を曲がって巻き込まれる事は無くて怪我もしなかった。


「はぁー……はぁー……やっと着いた。電気は通ってるみたいだけど——」

(茜!)

「毛玉……!逃げたんじゃなかったの?」

(逃げてたけど爆発があったから探しに来てやったんだ。ん?……なんだこの匂い?ご主人と同じような匂いだけどなんか違うな)


仲間が見つかって少し安心したけれど、また爆発が起こり壁が崩れていく。しかもそんなに離れてない場所に大きな穴が開いた。


(爆発だ!危ないぞ茜。何か来る)

「——分かってる!だから早くここを開けないと……!」

(あいつがあれか。ご主人じゃないと倒せないってやつなのか。……どうした?開かないのか?)

「いや……開いたんだけど故障してるみたいで、ちょっとしか開かなくって通れないんだよ!」


不安だった電気も通ってたし、ロックも解除できたのに開いたのは手が入るくらいのすき間だけ。爆発の影響で自動ドアの機械が壊れたのかもしれない。

手を突っ込んで無理やり開けようとしても、私の体重をかけたところでびくともしなかった。時間をかけたら開けられると思うけど……そうもいかないみたいだ。


「もう逃げるの止めたのか?……いや、違うな。ここだろ?あいつがいるのって」

「う……もう来ちゃったのか」

(あいつがご主人の敵なんだな。……絶対に強いぞ。あいつは)


あいつは最初と変わらず、散歩するような速度で歩きながら、壁に開いた穴から姿を見せた。私と毛玉を交互に見るその表情に変化は無く、私たちを見てるようで見ていない。見てたのは私の後ろにある、研究室の壊れた出入口だ。


(おい!壁に白い球が出てきたぞ!)

「え?——まずっ!」


まず異変に気付いたのは毛玉だった。球体が出てきた瞬間にもう気付いていたみたいで、その後に私が見た時には爆発寸前の状態。

逃げる時間も無い事だけは私にも分かったけど、自分の真後ろへ伏せるように飛び込んだと同時に激しい爆発音が鳴り響く。


「……あれ?何も起きてない……?って言うかどこも痛くないし」

(いつまでそこで寝てるんだ!ドア開いたから早く入れ!」


毛玉の大きな声が聞こえてきたから急いで立ち上がって振り返ると、そこには毛を逆立てた毛玉が居て、その周りには風に似た何かが吹き荒れている。これのおかげで爆発があっても私たちは無事だったんだ。


(驚いたな。まさかあの猫あいつが爆発を防げるほどのエネルギーの放出するなんてな。……エネルギーあれはオレらと同じものだな。分かればどうにかできるし次は無い)


そしてその向こうではあいつが少し驚いたような顔をして毛玉を見ていた。まさか防がれるなんて思ってなかったような顔をしている。


「逃げるよ毛玉!」

(おう!)


私がギリギリ通れる隙間が開いていて、そこから中に入る事が出来た。

お兄さんのいる部屋は無事でドアにも鍵はついてないし、急いで起こしに入る。


「お兄さん来たよ!よく似た人が爆発をさせて研究所とかはもうボロボロ!」

(爆発?……結構好き勝手やってるじゃないか。そこまで来てるんだろうけど、今すぐ起きれそうに無くってね。再起動に少し時間がかかてるんだ。逃げ道は無い?あるならすぐ逃げるんだ)

「え!?もう逃げ道なんて無いよ……?」

(そうか。……仕方ない性能は少し落ちるけど、やるしかないな)


再起動とか意味わかんない事をお兄さんは言うし、時間がかかるって事は分かった。逃げ道も無いし、毛玉もエネルギーの使い過ぎで気絶してるし、ここで死ぬのを待つしかなかったりして……。


「よぉ、来たぜ。……っておいおい、機能してないのかよ。再起動中か?はははっこれ以上ないチャンスじゃないか。——じゃあな」


言い終わると同時に目を開けてられないくらいに眩しい白い光が部屋中を包み込んだ。それは白い球が爆発する瞬間に見た光景によく似ていた。

その光に包まれながら私は意識を失った……。




「お前は油断しすぎだ。本当に殺す気だったなら、発見されてすぐに行動するべきだった。甘く見すぎなんだよ……流石にもう聞こえてないか」


——誰かの声が聞こえてくる。聞いたことが無いはずなのに、なぜか知ってる気がした。ゆっくり目を開けると私の前には、ずっと台の上で横になっていたお兄さんが背中を向けているのが見えた。

その向かいにはあいつがいて、胴体に大きな穴が開いているのに、血が一滴も出ていない。まるで電源が切れたみたいに動きは止まったまま立っていたんだけど、崩れるように消えちゃった。


「やあ。起きたんだね」


私の方に振り返った時に、初めて目が合った。襲って来た奴と見た目は似てる気がしてたけど、動いてる所を見ると見た目も雰囲気も全然違う。

眼は黄色でキラキラしてるように見えるし、髪の毛だって白くて綺麗で長い。敵だった方は少し汚れてるように見えたのに、お兄さんはそういう事は無くて、すごく綺麗に見えた。それにお兄さんって呼んでたけど、女の人って感じもする。

でもお兄さんって呼んでも特に違うとか言われなかったし、どっちなんだろう?


「おーい。茜ちゃん、いるー?」

「あっ、最中ちゃんの声だ!私の事探してるみたいだから行くけど、お兄さんはどうするの?」

「ボクは無事だから、ここに居るよ。まだ本調子じゃないし、ここから動く気は無いんだけどね。その猫もここに寝かせたままでいいよ。面倒は見ておくからさ」

「じゃあ、また後で来るから。毛玉の事もよろしくね」


廊下に出ると、何人かの研究員さんが散らばっている瓦礫とかを片付け始めてた。私も手伝おうとしたんだけど、最中ちゃんと再会したら急に眠くなっちゃって、最中ちゃんの腕の中で意識が無くなった。

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