第23話

新しく取得した魔法の練習や、剣の素振りをしていると、急にダンジョンボードが出てくる。それを見ると、5人の男がダンジョン内を闊歩していた。

はじめての侵入者だ。

服装はこの間、魔物に殺された奴らと同じ格好をしている。おそらく仲間だろう。


とりあえず、様子見していると奴らの前にスライムが出現した。しかし焦ることなくスライムを切り捨てている。


ここに来るのも時間の問題か。男たちの様子をみていると、ふと、気づいた。


【DP】1960→1970→1980……



と【DP】がどんどん増えている。たぶん、ダンジョンに侵入者がいると、貯まっていく仕組みだろう。このダンジョンが有名になれば、魔石を吸わせなくても自動でダンジョンレベルが上がっていくかもしれない。



そこで、男たちが階段を見つけたようだ。コツンコツンと足音がするので、戦闘態勢に入り構える。



「ようこそ。私のダンジョンへ」



ちょっとカッコつけて相手に話しかける。ちょっと恥ずかしい。あいては一瞬、驚いていたがこちらを向き相手も警戒姿勢にはいった。

こちらを見て何やら話し始める。


「ダンジョンマスターが魔人か、ついてねぇなぁ」


「だけどダンジョンは一階層分しかなかったぜ」


「もしかしたら最近生まれたばかりかも知れねぇぞ」


「そうかもしれないな。確かにあいつは強そうじゃねぇな」


「案外簡単に倒せるんじゃないか?」


と笑って会話している。敵の目の前なのにね。相手はこっちをなめているっぽい。ちょっとだけだが頭にきた。


「討伐するなら、俺が弓を撃つ。後は行動を合わせてくれ」


「わかった」


俺の討伐を決定したっぽい。

俺には聞こえないよう小さめに話しているらしいが、身体能力向上を発動しているので、聴覚が冴えていて、全てが筒抜けだ。



シュンッッ。

矢を撃ってきた。明らかに殺意がこもっている攻撃だ。だが、感覚すらも引き上げられている俺には、とてつもなく遅く見える。ちょうど俺の顔の前にきたところで、矢を掴んでみる。


それをみて、攻撃をしてこようとした奴らの動きが若干鈍る。その隙をついて練習していた魔法を使ってみた。


風属性で重く鋭い風を発生させ相手を切り裂き、土属性で人より何倍にも大きい岩を作り出し盗賊たちに向けて飛ばす。骨が折れるような、肉が断たれるような音がしてさすがにキツかった。

仕上げに水魔法で水球を発生して原型のない顔の位置に固定する。息があった奴らも、窒息してバタリと、倒れた。


さすがにやり過ぎた。相手が殺意を持っていたからか、何の抵抗もなく殺せたが、ちょっと自分に驚いている。

いつからこんなに非情になったのだろう。


とりあえず、スライムたちのところに死体を持っていき、処分してもらう。

スライムは何でも食べて消化してしまうため、処分したいものがあるときに、結構便利だ。


盗賊はあまり強くなかったが魔法の効果は実証できたので良かった。

はじめての侵入者だったが呆気なく終わってしまったなぁ。と寂しくなりつつ、魔法の練習を再開させた。



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