超短編エッセイ・『猫』

夢美瑠瑠

超短編エッセイ・『猫』




 うちにはアメショーの猫がいて、「美香」という名前です。10歳で、猫の年齢だともう「シニア」、中高年に分類されるらしい。アメショーはAmerican short hair の略で、毛が短くて銀色の縞猫です。一見は雉猫ぽいが、背中の縞がロールケーキのように巻き巻きになっていてお洒落です。白樺という樹木も連想する。典雅で美しい印象の猫で、生粋の純血タイプらしい。

 買ったときに「母子手帳」を貰って、「10歳くらいからいろいろ病気をするようになったりする」と書いてあったが現在は健康そのもので毛艶も毛並みもいい。血統書付きで、「Silver Tabby」と分類が記載されている。これは「銀色の牝猫」の砕けた表現らしい。「Eye color」は「Green」とあるが、緑色というより緑がかった焙じ茶の色です。他にも英語でいろいろ書いてあるがほぼ判読不能です。ペットのこととかを記述するときの独特の言い回しや慣例とかがあるからかと思う。

 買ったときに「サイエンスダイエット」という舶来のフードを推奨されて、「猫ちゃんのご飯はこれと水だけで大丈夫」と説明書きにあって、科学的に理想的にデザインされているらしい。

 飲料水も、本来はミネラルウォーターを飲ませてあげた方が、覿面に毛艶もよくなって、全体に小綺麗に見える感じになるが、ミネラル過多だと尿道結石になるという記述もあって、頻繁には与えないようにしてします。

 

 非常に聡明な猫らしくて、誰もが一目見て「すごく可愛い」と異口同音に褒めて、少し交流を深めると、「賢いな~(@_@;)」と目を瞠る感じになる。鈍い飼い主には伝わりにくいが?衆人を感嘆せしめる曰く言い難い何かのゆえんが「美香」にはあるらしい。実際に自分の名前や「カワイイ」という誉め言葉や愛情のこもった視線とかの意味を正確に理解していて敏活に反応して、知性的というか明晰で怜悧な印象はあります。「こんな人間みたいな賢い猫初めて見た」とかも言われます。

 

 老母が病臥しがちになったころから我が家には様々な福祉関係の客が出入りするようになりましたが、「美香ちゃん、美香ちゃん」と皆の人気者で、どの人も一様に魅了されて愛らしさの虜になる、大袈裟に言うとそういう感じになります。

 「オーラがある」「可愛すぎる」とかいろいろな表現で褒めてもらうし、「キャー💓可愛い❣」と熱狂する、という感じに過剰に反応される場合もあります。

 

 今僕は一人暮らしで無聊を慰めてくれるのは美香ちゃんだけですが、誰か猫と一緒に暮らしたい人、ついでに僕の面倒も見てくれる、できたら性的なパートナーにもなってくれるw、そういう奇特で心の優しい人はいませんか?


<了>


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

超短編エッセイ・『猫』 夢美瑠瑠 @joeyasushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ