第4話告げられる真実

歌保は何も、手が付けられずに、ずっと

仕事を休んでいた。

そんな時、愛奈と仲の良かった美織と早代が

やって来た。

チャイムが鳴って出ると、二人が立っていた。


「あら…」


「こんにちは、おばさん、愛奈に線香を

あげたいんですけど」


「どうぞ上がって」


歌保は二人に、お茶の用意をした。

二人は線香をあげて泣いている。


「さぁ、これ飲んで」


「ありがとうございます、あの…今は

おばさんに、お話が有って」


「何?」


「愛奈が先輩に、イジメられてたのは

知ってますか?」


「知ってるわよ、名前も、でも証拠が無い

のよ」


「愛奈が亡くなった日、美弥が泣きながら

走って帰って行く姿を見付けて、何回も

呼んだんですけど、行ってしまって美弥

その日以来、学校に来て無いんです、電話

しても出てくれないし、美弥なら何か知って

いるのかなって思って」


「そう、そんな事が有ったの、教えてくれて

ありがとう、一度、美弥ちゃんの所に行って

見るわ」


「はい、おばさん愛奈は何も悪く無いから

綺麗で頭が良いから、嫌がらせです!」


「でも嫌がらせにも限度が有ります!

私達は愛奈を守れ無くて、すみません!」


そして、泣き出す二人に歌保は


「ほらほら、泣かないで、おばさん迄

悲しくなるから、あなた達は愛奈の分迄

楽しく生きて行くのよ」


「はい!」


「絶対に!」


そして二人を見送ると歌保は、美弥の家に

行く用意をして出掛けた。

美弥の家に着くと、美弥の母が出て来た。


「あっ、高井さん、この度は…」


「あの~今日は美弥ちゃんと、少し話が

したいんですけど」


「すみません美弥は、あれ以来学校にも

行けなくて、今話を出来る様な…」


と言っていると、美弥が上から降りて来た。


「おばさん」


「美弥ちゃん、大丈夫?」


「うん、おばさんには話がしたかったから

私の部屋で良かったら、どうぞ上がって

ください」


「美弥、あなた大丈夫なの?」


「うん、お母さん、これは大切な事だから

さぁ、おばさん、どうぞ」


「じゃ、お邪魔します」


「あの~一応私も一緒でも、いいですか?」


「どうして、お母さんが?」


「心配ですよね?私は構いませんよ」


そして美弥の部屋で、三人で話をする事に

なった。

まず口を開いたのは美弥だった。


「おばさん、愛奈は殺されたんです!」


「やっぱり!美弥ちゃんは、どうして

分かるの?」


美弥は、深呼吸をして歌保の目を見て

話を始めた。


「あの日、愛奈が例の先輩達に、連れて

行かれるのを見かけたんで、気になって

後をつけたんです、すると屋上に連れて

行かれて、柵を乗り越える様に、黒田先輩に

ナイフで脅されて」


「まぁ!何て事を」


驚きの隠せない美弥の母とは反対に、歌保は

覚悟していた。


「続けて」


「柵を乗り越えた愛奈に、謝れって言って

愛奈が何を?って聞くと、その生意気な

態度だよって言って、挙げ句の果てに

ここから飛び降りたら、スカートが開いて

花びら見たいで綺麗だろうなって」


美弥の目から、涙がこぼれ落ちる。


「酷い!酷過ぎるわ!」


「私の大切な愛奈を、花びらだなんて!」


「私は怖くなって、先生を呼びに行こうと

したら、物音を立ててしまって、先輩達に

見付かって、先輩達がほ~お前も飛ぶか?

って言い出して、すると愛奈が、美弥逃げて

逃げろ早くって、涙を流しながら私を、逃がそうとして、コイツらの言う事なんか聞くな

早く逃げろって、そしたら黒田先輩が誰が

コイツらだよって、愛奈の背中を押したん

です」


「そうだったの、やっぱり、あの子達が」


美弥の母は、ただただ泣いている。


「私は慌てて、職員室に行ってその事を

担任の吉田先生に言いました、すると

校長先生が出て来て、この事は一切他言無用

だと言われて、もう逃げる様に家に帰って

来ました、おばさん愛奈は、私をかばって

……本当に、ごめんなさい」


「美弥ちゃん、美弥ちゃんが謝らなくていい

のよ、悪は、あの三人なんだから、学校も

父親と祖父が政治家だから、隠ぺいしたのね」


「高井さん、うちの子の為に、本当に

本当に、すみません、すみません」


と、美弥の母は床に頭を付けて謝る。


「いえ、友達を守った我が娘を誇りに思い

ます!でも美弥ちゃんは、まだ学校に行かない方が、いいわね、唯一の目撃者だから」


「そうですね」


「美弥ちゃん、その内学校に行ける様に

なるからね、今日は話してくれて本当に

ありがとう」


「いえ、私なんか」


そして美弥の家を出た歌保は、心が壊れた。

復讐の鬼へと、変貌して行った。

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