第7話オレオレ詐欺②

2時間程、過ぎると、おばあちゃんの家に

若い男が、やって来た。

3人は、こいつだと思った。

その男は、おばあちゃんの家のチャイムを

押す。

3人は、少しずつ距離を縮めて行く。

おばあちゃんが姿を現すと


「吉田ですけど、息子さんに頼まれて

お金を取りに来ました」


私は、その声を録音していた。


「あ~あのお金ね~」


そう言った所で、3人で踏み込んだ。

慌てた男は、逃げようとしたが私の足払いで

前のめりにコケた。

即、逮捕となった。


「権田さん、早川と先に帰ってください

私は少し、おばあちゃんと話して帰ります」


「お~」


「お先っす」


権田さんと早川は、署に戻って取り調べを

するだろう。

仲間を聞き出すのが、目的だった。

私は、あの日以来、被害者のケアをしっかり

しようと、傷付いている心を見落とす事の

無い様に心掛けていた。


「おばあちゃん、お疲れ様です、協力

ありがとうございます、やっぱり詐欺

だったね」


「まあ~まあ~怖い~」


「だよね?怖かったね?息子さんの事に

なると必死に、なるよね?」


「はい、息子が困っているのに、放っとく

訳には、いかないから、つい」


「でも良かったね」


「え?」


「息子さんが事故なんか、してなくて

息子さんの携帯に、電話してみたら?」


「うん!してみるね」


そして、電話をする、おばあちゃん。


「もしもし和人?お母さん、無事?」


「何を言ってんの?お母さん」


「おばあちゃん少しだけ、変わって貰える?

事情を説明するから」


「和人ちょっと待ってね、電話変わるから」


「誰と?」


「もしもし、お忙しい所すみません、私

港署の柊悠里と申します、今日お母様が

もう少しで、オレオレ詐欺に会う所だったん

ですが、銀行が通報してくれて、先程、家の

前で逮捕しました、こんなご時世なんで

親子で何か、合図や合言葉を決めてたら

いかがですか?あ~言う悪い奴は、まだまだ

山程、居ますから」


「そうですね、ありがとうございます母は

怪我とかは?」


「大丈夫です、私達がちゃんと見張って

ましたから」


「本当に、本当に、ありがとうございます!

今日、母の所に行って、2人で相談して母が

分かり易い合図なり合言葉を、決めます」


「それは良い事です、じゃあ、お願いしますね」


「はい!ありがとうございました!」


「おばあちゃん、今日、息子さんが家に

来るって、そして2人で合図か合言葉を

おばあちゃんが、分かり易いのを決めるって

良かったね」


「はい!」


「優しい息子さんだね?おばあちゃんが

怪我して無いか、心配してたよ!」


「優しい息子です!最後の最後迄、本当に

ありがとうございました、じゃあ私は息子の

好きな、おかずでも作ります」


「はい!頑張って作ってくださいね、では

失礼します」

(何歳になっても、自分の子供は可愛いくて

大切なんだな!高井さん、本当に、本当に

ごめんなさい!)


私は流れる、涙を拭き取って署に戻った。


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