第2話柊の特訓

署に戻ると早川が


「柊さん、なんで、あんなに強いんすか?」


「お前、早川知らないのか?」


「え?何をっすか?」


「柊は空手、柔道の全日本チャンピオン

だぞ!それ以外にも合気道、ボクシング

も出来るから、下手な男より強いぞ!」


「ゲッ!」


「早川、練習するなら何時でも、相手

するよ!」


「いえ、僕は結構で、ございまする」


「そんな事を言って無いで、お前は少し

シゴイて貰え、現場に行っても何の役にも

たたないんだからな!」


「権田さん、今日空いてますよね?今から

ちょっと稽古を付けて来ます!」


「お~行って来い!」


「嫌です、嫌です、嫌で~す!」


抵抗する早川の、襟首を掴んで引きずって

道場に連れて行った。


「さぁ、早川は何がいい?空手、柔道

合気道?」


「いえ僕は、どれも結構でございまする」


「何が、まするよ!じゃあ私が犯人に

襲われたら、どうするの?」


「また、また、ご冗談を、そんなに強いのに

襲われる訳が無いっすよ」


「そんなの分からないじゃ無い」


「分かるっすよ」


「あ~もう、うるさい!するよ」


すると道場を、走り回って逃げる早川を

追い掛ける私、直ぐに捕まえて早川に


「おあいにく様、私は足も早いんだよね」


「ヒェ~お許しくだせ~お代官様」


「何が、お代官様よ!あんた警察学校でも

したでしょう?どうだったの?」


「ボロ雑巾の様に、なったっす」


「あんた良く刑事になれたね?自分で希望

したの?」


「する訳が無いっすよ!」


「だろうね!じゃあ今日は形だけ教えて

あげるよ、どれがいい?」


「どれも一緒っす」


「はぁ~情けない、じゃあ今日は空手ね

腰を落として脇を締めて、拳を突き出すん

だけど、ずっと力を入れちゃ駄目だよ!

突く瞬間に力を入れて、それを左右100本

ずつね」


「え~!」


「はい!やる!」

(ありゃ~これは全然、駄目だわ)


「ハァハァ、終わったっす」


「じゃあ、次は蹴りね」


「まだ、やるんすか?」


「蹴りを100本ずつ、したら終わるから」

(あちゃ~蹴りは、もっと駄目だわ)


「あんた蹴って、自分がこけて、どうすんの?」


「だって僕は、体幹が悪いっす」


「何を自慢気に言ってんのよ!こけない様に

踏ん張んなさい!」


「ゼ~ゼ~終わったっす」


「はい、お疲れ」


「ありがとうございました、もう今日で

十分なので、お許し下さいでございまする」


「まするじゃ無い!これからも空いてる時は

練習するからね」


「ギャ~~~~~~~~」


早川の悲鳴が、道場に響き渡っていた。

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