【リメイク版】第4話 『王様ゲーム』作戦
「『王様ゲーム』作戦!?」
彼からとても意外な作戦が提案されたけど、正直言うと悪くないかもしれない。
*
今から20分ほど前。
「僕の名前はツェルラータ・ローレッヒです。今から1週間ほど、皆さんに迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」
「ねぇ、あの『計画』についてツァ、チェ…」
「すみません、発音しにくいですよね。ラータでいいですよ」
「それで、ラータ君は何か知ってることはあるの?」
「いえ、僕には何も教えてくれなかったですし、多分僕が退団させられたのはあの『作戦』の影響でしょうから」
「それで、君の所属してた教団の名前は?」
「『ペッシュラーズ』です。僕自身、両親があそこの所属で生まれたから所属していただけのようなレベルでしたが」
すると、急にユウナが勢いよく立ち上がったが、息が荒い。何かあったのだろうか?
「その『ペッシュラーズ』は『シュラフトゥン』と交流はありましたか?」
「は、はい…。最近、出入りが多いようで。外国の教団でしたっけ?」
「来週の『計画』は奴らが関わっているのですか…」
「何か『シュラフトゥン』に恨みでもあるんですか?」
「ユウナは、両親が奴らに殺されてるから…。まぁ、親の
「そうなんですか…。なら、僕もかつての仲間相手でも容赦しません!僕はあなたたちの仲間です」
こうして、作戦会議が始まったのだが…
*
「『王様ゲーム』作戦となると、誰がどんな目に遭うか分からないですよ!?」
ユウナはいささか不満のようだった。まぁ、相手が男だと、私もえちちなことを
命令されないかとは思うけど、平和の為には仕方ないのかな…?
「大丈夫です。こっちが相手の要求を全て呑めばこっちの勝ちとして相手には撤退してもらって、こっちが要求を呑みきれなかったら降参する、というのはどうでしょう?」
「しかし、その『計画』がギルドで白昼堂々行われるものなら『王様ゲーム』作戦は…」
「でもユウナ、私たちの犠牲で平和が守れるなら仕方のないことだと思うよ」
「私たちの犠牲だけでどうにかなるとでも思ったんですか!?わざわざ『作戦』を決行することを暴露している以上、向こうもそれなりの対策をしてくるはずです!」
「私もそれなりの対策はするし、その時になれば警戒だってする。だからさ、この案に乗ってみない?これ以上いい案を考えるっていうのも難しいし」
「…仕方ないですね。万が一のときは責任とってくださいね」
*
そして一週間、ついに決行の時が来た。
朝からギルドに張り込んでいると、およそ11時くらいになってあのタキシード男を先頭にして覆面の集団が十数人が入ってきた。
「はい、死にたくなかったら全員両手上げて」
タキシード男がそう言うと背後の覆面たちが職員たちを取り囲んだ。
さて、準備はできたし、そろそろ行くか。
「全員で2000万ジェルド用意しな。1時間以内にそれが達成できなければ、全員殺す」
「ちょっと待ったーー!!」
「何だ、小娘ごときが騒いでんじゃねぇよ」
「私はあなたたちを排除して今すぐにでも平和を取り戻したい。でも、あなたたちが死ねば悲しむ人もいる――。そこで、交渉をしましょう。あなたたちを王様として『王様ゲーム』をやるというもので、私とこちら、ユウナに命令をしてもらいます。もしも私たちが要求を呑み切れたら私たちの勝ち、呑み切れなかったら私たちの負けってことで。どうします?」
「お、何命令してもいいんだな?」
「ただし、白昼堂々なのであんまり残酷だったり、えちちなものはいけませんよ?」
「分かった。それじゃぁ、
案外、すんなり了承してきたな。何を命令してくるつもりだ?
「まず、バーで一番高い酒をもってこい!!」
なんだ、その程度か。
「どうぞ」
「んじゃぁ、次。2000万ジェルド用意しな」
「せっかくのチャンスなのに、すぐに終わらせちゃっていいんですか~?」
まだ時間を稼がないと。そうすれば、きっと保安官とかエリート冒険者が来てどうにか取り押さえてくれるはず…。
「んじゃあ次。お前ら、2人でキスしてみろ」
「「え??」」
さすがに私も耳を疑った。え?このタキシード男、そんな趣味あったの?フツーに紳士だと思ってたのに。うわぁ…。
「うわぁ…、みてぇな顔してずにさっさとしろ!」
「はいはい、分かりました」
*
私は動揺していた。シエラは了承したみたいだけど、収拾がつかない。いや、シエラはキライではない。むしろ好きだ。けど、キスは特別な人―—一生を約束した相手とするものだと教わって生きてきた。だから、そんな簡単にしていいものだとは思えない。どうしよう。でも、シエラは平和の為に平気で自己犠牲をはたらくつもりだから止めても無駄かもしれない。どうしよう…
「ユウナ、怖い?」
「べ、別に怖いとかじゃないけど…。シエラはどう思ってるの?」
「大好きなユウナとなら私は怖くも何ともないし、むしろ大歓迎だよ」
こんなこと言われちゃったら、もう後戻りするわけにはいかないか。
「分かった。しよう」
続く
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