　古城アレッポの上空で天使たちは闘（とう）諍（じよう）していた。

　宿敵である『復活の日』と激闘を展開していた。

　神聖冒（ぼう）瀆（とく）すべからざる古代遺産であるアレッポ城は城（じよう）砦（さい）を囲（い）繞（じよう）するかたちで砂（さ）礫（れき）による堡（ほう）塁（るい）が聳（しよう）立（りつ）しており『復活の日』残党が蟄（ちつ）居（きよ）しているとおもわれる宮殿やモスクに闖（ちん）入（にゆう）するためには南北の防衛塔や城門を攻略し複雑怪奇なる土地を驀（ばく）進（しん）してゆかねばならない。さきだってアレッポ城界（かい）隈（わい）に逢（ほう）着（ちやく）していたアメリカ陸軍の幾（いく）許（ばく）かの小隊は装甲車から天使たちを招（しよう）聘（へい）し堡（ほう）塁（るい）や防衛塔内の『復活の日』残党と交戦していた。四（し）面（めん）楚（そ）歌（か）とはいえ流（さ）石（すが）に一（いち）蓮（れん）托（たく）生（しよう）の残党たちの邀（よう）撃（げき）は尋常ではなく翡（ひ）翠（すい）色の穹（きゆう）窿（りゆう）からは殺（さつ）戮（りく）された巨万の天使たちの死骸が墜落してゆく。殄（てん）戮（りく）された天使たちは白銀のつばさから巨億の羽根をちらして地面に衝突してゆく。血（ち）腥（なまぐさ）く瑰（かい）麗（れい）なる風景のなかで天使たちと残党たちはなおもたたかいつづける。