第14話

 ようなるくりの対立のなか『さとり』をひらくものがあらわれました。のうのわたしつまりサイクル宇宙のなかでひとしなみにざんなる人生をけみしてきた意識のまつえいである『ハルトマン』という固体が絶無におもわれる『人生の意味』を穿せんさくするためにみずからの脳髄を手術して『脳髄特異点』にいたったのです。つまり超人ハルトマンは『全知』という神のを掌握したのでした。『特異点』にほうちやくした脳髄でこうかくしたハルトマンは全人類にいいます。「この世界にはくるしみしか存在しない。なぜならば宇宙そのものがエントロピーをらうことによって永遠に生きつづけるからだ。つまりわれわれは宇宙を生かしつづけるために無限回にわたって破滅をくりかえしているにすぎない。ゆえに生きている意味など存在しない。ならばこれ以上くるしみをうまないためにも全人類で集団自殺するべきかとおもわれるがそれも無駄だ。われわれ人類が滅亡しても天壌無窮の膜宇宙のなかではつぎなる苦悩する人類が誕生するであろう。のみならず無限個の膜宇宙すなわち窮極集合内の全生命体はくるしみつづけるであろう。そこでわれわれ万物の霊長たる人類の天命は『すべての宇宙すなわち窮極集合ごと心中すること』である」と。

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