これだけ作り込まれた作品が埋もれてしまうのはもったいない

しっかりと作り込まれたファンタジーの世界と圧倒的な文章力で描かれる主人公たちの丁寧に描写された心の内側。
この物語を書くためにいったいどれだけの推敲を重ねたのだろう。
謎の少女・樹李と自分が誰なのかもわからなくなってしまった少年の出会い。
そしてムーングロウと呼ばれる世界で少年は多くの仲間や怪物と出会い、自分のことも分からないまま、守りたいものの為に立ち向かっていく。
奥行の深い物語に章が進むに連れて、飲み込まれていく。
はじめて作品を目にしたときは、多くの謎と現世とフラマリオンの関係。
どう展開していくのか全く読めずに情報を受け入れていく。
そして現世での登場人物たちの背景を知り、再びフラマリオンの世界へ。
作品が既に小説として形になり過ぎていて、文章量に対して抱く負担というものがない。
感服するのはぱっと見てその文章量から圧倒されてしまうかもしれないが、実際には物語はテンポよく進んでいくこと。
これだけ書き込んでいながら次へ次へと読んで行けるのはまだ未知の物語の謎が気になるから。そして主人公たちの進む先が、作品タイトルがどういう形で収束するのか気になり引き込まれてしまうから。
続きを読むのがとても楽しみな作品です。

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