プラネタリウムで暮らしてる

明鏡止水

第1話

ぼくたちは、プラネタリウムで暮らしてる


同心円状の


丸い


高い


天井


お父さんとお母さんがでてくるね


もう何回も見た


開演するまで併設された図書館で本を読み、時間になったら子どもは50円でプラネタリウムで星が見られる。


このままここに、くらそっか。


弟が言う。


離婚でもない。単身赴任でもない。


母は泣いた。

わたし、一人じゃ、むりよ。


おかあさん。ぼくがいるよ。

ぼくが弟をみるから。


おかあさんはぼくをみて?


あっちへいって!



ほしをたべていきよう、兄さん。


だいじょうぶ、こんなにあるんだから。


弟が言う。


もうすぐ迎えが来る。お母さんだ。


隠れちゃおうよ。ぼくが言う。


だけれど、星空は。


明るくなって、客席になった。


ぼくほんとうは、プラネタリウム怖かった。

弟が言う。


いつも、歩くと光る靴を、見て。安心してたんだ。


てをつなごうとしたこともあったのに、どうして払いのけたの。


仲良くしたくなかった。


弟のほうが利口だった。


せめて、先に母に見つかるのは自分だ。

織姫と彦星は、とうさんとかあさんのことじゃない。

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プラネタリウムで暮らしてる 明鏡止水 @miuraharuma30

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