第25話 確実に強くなってきている

 僕はステータス画面を見てみる。


 ―――――――――――――――――――――――

 ラース・ヴィクトル 16歳 男 人間

 Lv13

 攻撃1223

 物理防御620

 魔法防御645



 保有スキル【魔眼Lv2】

 保有魔法【探知眼】【鑑定眼】【映像眼】【束縛眼Lv2】

 称号【キングスレイヤー】【ドラゴンスレイヤー】【竜王より寵愛を受けし者】

 ギフト【取得経験値激増】

 ―――――――――――――――――――――――


 称号が追加されている上に、ギフトとかいう欄が新しく追加されている!? 僕は新たな称号とギフトを確認する。


 ―――――――――――――――――――――――

【竜王より寵愛を受けし者】……竜王から特別な褒美を得られた者に付与される。攻撃、物理防御、魔法防御が500上昇する。

 ―――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――

【取得経験値激増】……入手経験値が2倍~10倍にも増加する。振れ幅はランダムだが、倍率が高くなるほど確率は小さくなる。

 ―――――――――――――――――――――――


 おいおい噓だろ……。【竜王より寵愛を受けし者】の効果で一気にステータスが500も増えている。攻撃力に関してはまさかの1,000超えだ。


 おまけに【取得経験値激増】。これさえあれば、すぐに高レベルになれるだろう。


「良かったんですか。こんなに強力なギフトを貰ってしまって」


『構わん。どうせ我とともに滅びる魔法だったのだ。お主の役に立つのであれば嬉しく思う』


「ありがとうございます。ところで竜王というのは……」


『ふっ。ばれてしまったか。そうだ。我は黒竜族の竜王であった。とはいえ、もうずいぶんと長く群れからは抜けているがな。【魔眼】持ちに追い出されてからというものの、我は基本的に孤独であった』


 そんな過去が。というか、【魔眼】持ちは群れの主導権を竜王から奪ったのかよ。どれだけ強かったんだ。それに、群れを追いだされたといっていたけど、それを語るエラムの顔は少し寂しそうだ。


 これ以上は言及しないほうが良さそうだな。


『なに、過ぎたことよ。今さら感傷に浸っていても仕方あるまい。それとラースよ、我はそろそろ長い眠りにつく。最期に少し聞いてほしい話がある』


「なんでしょう?」


『お主はこれからどんどん強くなるであろう。もし、黒竜族に出会ったとき、彼らが困っているようであれば、助けてやって欲しい。黒竜族は数が減っていて、窮地にあるのだ。もちろん、お主に敵対的なようであれば殺してしまっても文句は言わん』


「分かりました。やれるだけのことはやってみます」


 まぁ、ただでさえドラゴンは希少な種族なのに、その中でも更に希少な黒竜族に会えるとは思えないけどな。けれど、万が一黒竜族に出会ったらしっかり彼らをサポートすることにしよう。


『お主は優しいのだな。本当に感謝する。それではさらばだ。お主のマジックバッグでは我の身体は入らないであろう。我の身体に存在する魔力とマジックバッグの魔力が反発するだろうからな。そこでだ。今我々がいるほら穴に結界を張っておいた。暫くは魔物を寄せ付けないであろう。我を輸送する手段を得たら、再び戻ってくるがよい』


 それだけ言うと、エラムは瞳を閉じた。もう息遣いは聞こえてこない。僕とシルはほら穴を後にした。



 ◆❖◇◇❖◆



「ということがあったんだよ」


「はぁ」


 2日後。無事にトロンの町に戻ってきた僕は依頼の品をギルドに納品し、フレアの店に戻ってきていた。


「なんでそんなにため息をつくんだ」


「あなたはどうしてそう色々なことに巻き込まれるのですか。黒竜族は基本的にはかなり凶暴だったりするのですよ。今回は死にかけだった上に友好的だったから良かったものの、下手をしたら殺されていたかもしれません」


 フレアの目つきはいつになく真剣だ。


「もしかして心配してくれているのか?」


「なっ!? 別にそういうわけでは。あなたが死んだらシルも壊されかねませんし、マジックバッグもなくなってしまうでしょう!」


「それはそうだな」


 こうは言っているが、フレアはおそらく本当に僕のことを心配してくれているんだろう。彼女は素直じゃないからな。


「だけど、ある程度危険を冒してしまうのは許してほしい。冒険者なんてそういうものだからな」


「分かっています。確かに今の私の発言は少し理不尽でしたね。まぁ、謝罪する気はありませんが。それはともかく、エラムとかいうドラゴンを回収しに向かわなければなりませんね」


「ああ、だけど、マジックバッグに入らないんだ」


 エラムに言われてはいたものの、一応マジックバッグに収納してみようとはしたが、上手くいかなかった。


「確かに、強力な魔力を持つドラゴンの肉体をマジックバッグに入れるのは難しいでしょうね」


「じゃあどうするんだ」


「マジックバッグの魔力の波長をドラゴンに合わせれば問題ありません。ただ、そのためには私も《白亜の森》におもむく必要があります」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る