無能だからと実家を追いだされ底辺をさまよってる冒険者だったけど、ユニークスキル【魔眼】が覚醒したので無双してみる~え? 歓迎してやるから家に帰って来い? お断わりします~
第3話 最強でもないけど切り札はここぞという時に使うもの
第3話 最強でもないけど切り札はここぞという時に使うもの
目をつぶり、口元にハンカチを当て、煙を吸わないように気をつけつつ、ゴブリンたちの間を素通りする。
冒険者をやっていれば目をつぶっていてもある程度自由に動くことはできる。
おまけに僕の場合は【探知眼】があるため、周囲のゴブリンたちや木々がどこにあるのか把握するのは容易だ。
煙の中を抜けたあとはダッシュで移動し、強烈な匂いを発する液体を辺り一体にばらまいた。
それから茂みの中に身を潜める。これで少しは時間稼ぎになると思う。
息を抑えてステータス画面を開く。
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ラース・ヴィクトル 16歳 男 人間
Lv11
攻撃121
物理防御117
魔法防御144
保有スキル【魔眼Lv2】
保有魔法【探知眼】【鑑定眼】【映像眼】【束縛眼Lv1】
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おお! ちゃんと魔法が追加されているな。詳細を見てみるか。
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【鑑定眼】……対象を鑑定し、価値を調べることができる。
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【映像眼】……見た光景を保存し、もう一度自分の目で見ることができる。
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【束縛眼Lv1】……見た対象の動きを完全に止める。《束縛時間 3秒》
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うーん。正直に言おう。どれも微妙すぎる。この状況を打破するために使えそうな魔法は【束縛眼Lv1】くらいなものだ。
「ギャア」「ギャギャ!!!」
やばい。もう近くまで来てしまったか。もうこうなったら手持ちの魔法でなんとかするしかない。
僕はゴブリンたちの様子をこっそりとうかがう。
彼らは僕の足跡を探しながら進んでいるようだ。まだ周りには強い匂いが漂っているため、こちらに気づくのは時間がかかるだろう。
今のうちに魔法を試してみるか。「鑑定眼」
なるべく相手に聞こえないように、小さく呟く。
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ゴブリンキング 10歳 ♂ ゴブリン族
Lv21
攻撃250
物理防御320
魔法防御221
保有スキル【統率Lv3】
保有魔法【召集】【味方鼓舞Lv3】【嗅覚向上】【威圧】【身体強化】【高速思考】【味方洗脳】
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強いな。スキル名にある通り、群れを率いるのに必要な魔法だけでなく、純粋に腕力や思考力を高める魔法まであるのか。
というか10歳で僕より強いとかどうなってんだよ。
まぁ、ゴブリンは基本的に人間より寿命が短いから、成熟するのも早いし、気にすることもないか。
だけどなんか納得できない。
……次の魔法を試そう。
「映像眼」
途端に、周りの風景が直接頭の中に流れ込んでくるような、不思議な感覚に襲われる。10秒間ほどその感覚に溺れてから、僕は魔法の使用をやめた。
記録した光景はまた魔法を唱えれば良いのかな?
「映像眼」
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《どちらを選択しますか?》 《録画》 【《再生》 〈両眼〉 〈右眼〉 〈左眼〉】
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もう一度魔法を使うと、今度はこんな画面が目の前に現れる。
再生欄にある〈右眼〉を押すと、右目の前にさきほど見た光景が再び目の前に流れてくる。
左目の方は今の時間の風景が流れてくる。ほうほう。面白い。
だけど今は役に立たねぇ〜。
最後、本命を試すか。
「束縛眼」
少し離れた距離にいるゴブリンを見ながら魔法を唱える。
「ギャグッ!?」
すると、睨みつけていたゴブリンはまるで時間が停止したかのように動かなくなった。
「ッッ!? ギャハァ」
3秒後、ゴブリンは思いだしたかのように再び動き始めた。
周りのゴブリンたちはなにがあったのか分からず、動きを止めていたゴブリンを怪訝な目で見ている。
そりゃそうだろうな。対象を見ただけで動きを止める魔法なんて聞いたことがない。おそらくかなり希少だと思う。
「うん、勝てるぞ」
ようやくゴブリンキングたちを倒す算段がついてきた。
ありがたいことに、体感では束縛眼の消費魔力はあまり多くない。僕が元貴族家出身だから魔力が多いというのもあるだろうけどな。
僕は茂みから飛びだす。
「おーい! かかってこいや!!!」
ゴブリンたちに見えるような位置に立ち、大声でわめいた。
「グギャグギャアアアアアアア!!!!」
ゴブリンキングの怒鳴り声とともにゴブリンたちがこちらへ駆け寄ってくる。彼らは異様なほど興奮している。
おそらく、【味方鼓舞】を使ってるな。
だが好都合。
「束縛眼!!!」
先頭を走っているゴブリンを動けなくしてやる。
「ゴブゥ!」
「ヘブッ!」
すると、後ろを走っていたゴブリンたちが動けなくなったゴブリンにつっかえて転倒した。
「今がチャンスだな」
背嚢からファイアーボムという魔道具を取りだすと、ゴブリンたちに向けて投げつける。
バゴォォォオォォォォォォォ!!!!!!!!!!!
ファイアーボムは地面に当たると爆発を引き起こした。
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