第15話 荒療治

 ガルシアさんに連れられ、私たちは再び国王様のいる城へとやってきた。


「ここに来て、何をするんですか?」


 私がそう尋ねると、ガルシアさんはチラリと私たちの方を見て、そして叫んだ。


「デルシア!お前の娘とその連れはここにいるぞ!!」


 その言葉に私は思わず固まってしまった。


 そして、私たちがそのまま硬直していると、1つの影が屋上から私たちの元へ飛び降りてきた。


「よお、ガルシア。久しぶりじゃないか」


「学園の時以来か?バカ」


 この2人、会話は至って普通だけど言葉の節々に圧倒的な強さを感じる・・・っ!?きっと私はこの会話に混ざる資格は無いんだろう・・・


「バカとは大層な言いようじゃないか、だが、我の娘とその気に食わない野郎をここに戻してくれたことには感謝するがな」


「ああ、存分に感謝してくれ。だか今はお前に返す訳にはいかねぇな」


 その言葉に国王様は眉をピクリと動かす。


「何・・・だと?」


「俺たちはバカにもの教えに来たのさ!シバリア!」


「しまっ・・・」


 そう言い終わる事なく、国王様は、ガルシアさんの魔法をくらい動かなくなってしまった。


「よしっ!今だ!ラムやったれ!」


「は、はい!分かりました!」


 そう言うとラムは元のスライムの姿になる。


「よく見ろ!これが人間の男な訳ねえだろ!」


「そうですわ!ラムは最初からワタクシの初めてのスライムですの!それを分かってくださらないなんて・・・お父様ことなんて、大嫌いですわ!!」


 あっ、マリアその言葉は流石に・・・


「・・・・・」ツーッ


 ああ!動けないはずの国王様から涙が!こんなの惨すぎるよっ!!


「さっルリカ!行きますわよ!」


「行くって・・・どこに?」


 すると、マリアは微笑み答えた。


「ワタクシ、お父様が反省なさるまでルリカのお家にお邪魔することにしたので」


「え、えーーーーーー!?」


 そんなこんなで、明日から期間限定で我が家に新たな家族が増えることになりました。


 とは言っても、あの人のことだし、すぐ反省したとか何とか言って謝ってきそうだけどね。


 しかし、事件はそれから数日後に起きた。


「あれ、王宮から手紙だ・・・」


 最初はマリア宛の謝罪文かと思ったけど、私宛であるところからして違う別の用事だろう。


「じゃあ、読んでみるか・・・」


 私はそう言って封筒を破り中の手紙を読む。


『ルリカ様へ

  突然のお手紙、失礼致します。メイド長のメイカでございます。この度のマリア様の家出についてですが、我々メイドと執事達とで話し合いましたところ、お嬢様が外を知る良い機会ではないかという話で纏まりました。

 よって、本日より1年間、お嬢様のご面倒を見てくださればと思います。

                 メイカ


 p.s生活費に関しましては、申請してくださればこちらの方で少し上乗せしてお支払いいたします                  』


 えっと、つまり・・・マリアがもう一年ここにいるってこと!?


「私の事情も考慮してよーーーー!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

申し分ないステータスで転生したのでまったりスローライフします 神在月 @kamiarizuki10

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ