第27話

 ある日の雨の日の出勤、どこかの部族の太鼓の音がアパートの外から響き渡る。

 帰ってきてからにしてくれ。

 カーディガンはしまった。

 そろそろピンク色の季節は終わる。

 私は雨合羽に長靴で外に出て、

 しばらく歩いてから、とあるないはずのモニュメントに気づく。

 アマビエ?

 なぜかモニュメント下の文字が外国語なのに読め。みたことないぞこんな、傷んだ像。

 しまった!

 雨の日は発現状況がちがうのか?!

 パートは?!お仕事は?!自転車を転がしながら、1人の男の人と出会う。緊張する。

 

その、つるつるの水を弾く服はなんだね。


「カッパですけど」自暴自棄になっていた。


か?!


 男性は叫ぶ。


きみ、悪いことは言わない。あの神をそのような服の名にするな。どこで誰にそんな事を教わった。確かに雨の恩恵を全身で受けられそうだが


 カッパ、神なの。カッパ教なの。私もきゅうり好きです。栄養あんまりないって聞いてますけど本当ですか?


それに、


 と男性は続ける。


手は、痛くないのかね?


 痛い?ひりひりする、まさか、これは、

「酸性雨?!」


黙りたまえ!!


 男性に止められる。


悪いことは言わない。しかし、その服のことは評価しよう。この雨は、それでも降らねばならぬ恵みなのだ。


 そう言って去って行った。アパートに戻る?それともここを突っ切って夢から弾き出されるのに賭ける?どのみち戻っていたら時間に遅れる。突っ切った。途中で1番大きく神々しい、・・・・・・きゅうり好きの神様が大仏のように手を合わせて祈っているのをみたが、どの部分もこの雨のせいか溶け、草木は黒く変色している。ここは公園の中のようだった。


 果たして、カッパ様の守護する酸性雨の世界から雨合羽と相棒の銀の自転車で、私、桜は生還し。知っている道に出て、無事にパートへ向かった。

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