第7話 恋バナ

 あれ?あれってフミと桜じゃない?


 私は今友達と四人で駅前に来ているのだが、、なぜ駅から二人で楽しそうに出てきているのだろうか。


「陽菜ちゃん?どうしたの?」


「いや何でもないよ」


 私は友達の声により意識を引き戻される、私はそれどころではないのだが


「そういえば、あれって黒崎と城山じゃないか?」


「ほんとだ、あの二人って仲いいよね、付き合ってるのかな?」


 確かにそんな風に見えるほど仲睦まじげだった。


「どうだろう?陽菜ちゃんって黒崎と幼馴染だよね、なんか知ってる?」


 急に話をふられて私は驚いた。


「えー、えーと、付き合ってないと思う、、うん」


 今までの対応からして明らかにまだ付き合っていないのだがあんなのを見せられると自信がなくなる。


「へー、早く付き合えばいいのに」


 やめて!それは私がもたない!私は首を左右に高速で振った


「陽菜ちゃん?ほんとにどうしたの?」


「だ、だいじょうぶだよ」


「な、ならいいけど」


『全然大丈夫じゃないけどね!』と思ったが、とりあえずこのままだと私の心臓がもたないので話を変えることにした。

 ほんとに予定を立てていたことに救われた。


「それより、早くいかないと予約の時間遅れるよ。」


「それもそうだね。」


 私はそっちの方向へ話をそらすことに成功した。


 ―――――――――――


 私たちは駅前のカフェに来た、前にフミ達三人で来たところだ。

 

 今の時期はビワフェアをやっているらしく、これのために私は呼ばれた。

 私たちは『ビワのビッグパフェ』を一つとそれぞれ飲み物を注文した。

 

 そんなに経たずして飲み物が先に運ばれてくる


 私は話に入るタイミングを逃し、ただ三人が話しているのを聞いていた。


「そういえば、城山ちゃんってめっちゃ可愛くない?」


「あぁ、確かに」


「なんか、急にかわいくなったよね。」


「えーと、ちょうど多田さんにつっかかられた次の日からじゃなかったっけ。」


 多田たださんは多田美郷さんのことだ。


「その時黒崎さんが止めに入ってなかったっけ。」


「あ~、そうだったね、じゃあそこで城山は黒崎のことに惚れたってことかな?」


「なんかそんな感じがする。」


 まだここまでは耐えれた、だが


「まぁ、黒崎くんって意外とかっこいいもんね、」


「コフゥッ、、ゴホッゴホッ」


 どうしてそこにたどり着いたか分からない発言が来た


 私はその急な発言により紅茶が気道に侵入するのを許してしまった。


「陽菜ちゃん大丈夫?」


「うん、大丈夫」


「ならいいけど、、ところで、陽菜ちゃんから見たら黒崎くんはどんな感じなの?」


「うーん、、、馬鹿だけどいざというときに頼りになるというか、、」


 『自分で話しておいてなんだけどこれほぼ惚気話じゃん』と陽菜は思った


「んんん?陽菜ちゃんの顔が赤くなっているぞ?」


「あ、ほんとだぁ」


「ほんとは黒崎くんのことどう思ってるの?」


 うっ、、


 私の頬は気づかぬうちに赤くなっていたようだ、そのせいで、私は三人に質問攻めにあった。


「えーと、、、


「ご注文の『ビワのビックパフェ』です」


 ナイスタイミング店員さん!私は店員さんにグッドサインをしかけた。


「思ってたより大きい!」


 普通のパフェの六倍ぐらいありそうなサイズのパフェで、フェアの間はこれ目当てでこの店に訪れる人が多いらしい。


 あまりのインパクトに彼女らもそっちに意識が行ってくれたようだ。


 いま彼女らは写真を撮っている。


 撮影が終わったらしく皆が席に座り、小皿にとりわけ食べ始めた。


 もう私のことは気にしないだろうと思っていたのだが


「で、どうなの?」


 終わっていなかった、、


 私はもう逃げきれないと思い


「もう、わかったよ!白状しますよ!私フミのこと好きなの!」


 こういった瞬間、三人の目が輝いた。


 ―――――――


「そういうわけで、今難航なんこうしているの」

 

 私は今までの顛末てんまつを話した、


 彼女らは今まで見せたことの無いような目でこっちを見てくる。


「なんで、一回フッちゃたんだよぉ、、」


「同感」


「これは陽菜ちゃんのほうに原因があるわ。」


 三人からメンタルに集中攻撃をくらった。


「皆まで言うな!私だって告白されたときに気付いてたら迷わずOKしてたよ!」


「「「そらそうだわ!」」」


 私は何も言えなくなった。


「じゃあ、もう告白するしかなくない?」


「でも、やっと仲が戻ってきたのに、フラれたらまた壊れちゃうだろうし、そもそもフミもそれを分かってるだろうから無理でもOKしちゃいそうで、、」


「あ~、やっぱそうなるか~」


 私たちはここからどう関係を進めるかの話にシフトチェンジしていた。


 パフェはもう残り三分の一まで来ていた。


 その話の中でもやはり一度フッていることが大きく影響していた。


「でも、もう告白するしかなくない?恋敵ライバルは城山ちゃんだし」


「うっ、、、うん」


 私は告白しかないことを思い知らされた。


 この時食べたパフェの味はあまり覚えていない。


 彼女らは私の恋路こいじを手伝ってくれると言ってくれたが、逆に不安要素が増えてしまった。


 ―――――――――


「陽菜ちゃん、また明日ねー。」


 三人が電車の中から手を振ってくれた


「また明日ね」


 私も彼女らに手を振り返す。


 私は一人だけの帰路についたのだが、頭の中では『告白するしかなくない?』という声がリピートされていた。


 私はおもむろに夕日に向かって手を伸ばし


「絶対にフミにはこの思いを伝えてやる!それで桜ちゃんにも負けないから!」


 と自分に向かって元気に呟いた










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