2・5ZIGEN生徒会長選りすぐりの愛を回収致します?

たから聖

第1話 会長の女の座

横を向くと…突っ伏して寝てる生徒会長が居る。


別名、【俺様会長】。

生徒会長は…とても有名人である。

その証拠に他校からも彼を見に、

女子高生らが

校門でズラリと待ち伏せするのが

恒例化している。



【俺様会長】こと、雪人麗ゆきとレイは…その類いまれなる美貌で、常に女の影が付きまとう。



雪人麗ゆきとレイに気に入られた女子は


真紅しんくの薔薇の花束と

真っ赤なレースのランジェリーと共にプレゼントされる。



というウワサがあるのだが、

真相は誰も知らないのだ。



◇◇◇


『ガタンッッ』


レイサマが立ち上がる。

それだけでも黄色い声が

あちこちで聞こえる。レイは…気にせず


その美しい瞳で女子生徒達を見渡している。



俺様会長の吸い込まれそうな程のグリーンアイズ。


見詰められた女性は…失神すらしないが、

腰が砕けてしまうのだった。



レイ様は、とても自由気ままな性格なので、

神出鬼没な存在だとも言われていた。



教室の中に居ても

外へ出ても、彼には黄色い声援が付きまとうのだが、



いつも本命を作らない。という

心無い言葉も飛び交う。



『よし!!!』

私は勇気を出して、レイサマに声をかけてみるが、、、


レイサマは、時に冷酷な視線を飛ばす。



ひるむ私……

その他大勢の女子の中に居たわたしは……



特別な存在に変わりたくて、

度々、勇気を出すのだが……

毎年振られていた。



それでもレイサマが見せる可愛らしい笑顔を見ると、


私の胸は【キュン】となり、苦しい程に締め付けられるのだった。




私は、あなたに相応しくなる為に磨きまくってきたわ。


レイサマの穏やかな視界に入りたいの。

だから、お願い。



そんな瞳で見つめないで。





『はぁ。今日もダメだったかぁ』

落ち込む私の足取りは、重い。


どうすればレイサマの特別な存在に??





気後れしていた出逢った当初の私に比べたら、かなり

頑張ってるわよね?



生徒会長のレイサマは……

ここ、常磐高校では王子様的な存在感を放っていた。



頬に触れる指先からは、

魔法をかけているかの如く一挙手一投足が罪なのである。


シルバーに光るサラサラのヘア、


細身の身体に不似合いな、まるで芸術の様に厚い胸板。



に顔を埋められるならば……私は何だってするのに…。



◇◇◇


あ!!そうだ!!


不意に私はプチ整形しようか?を考え付いた。


そうよね!先ずは見た目から変えなくちゃ、レイサマには

見て貰えないかも知れない!



カタカタッッ

パソコンからネットで検索してみる。



パンッ!!


『ここ?なかなか良いわね!』




見付けた整形外科は…実際に可愛く変身した女性ばかりで、

お値段もお値打ちだった。



バイトのお金、貯めておいて良かったわ。


早速、週末に予約を入れた私は、

遅くまでレイサマに気に入られる様に自慢のロングヘアを

念入りにブラッシングした。



艶を出すために、高いシャンプーもトリートメントも

ママにおねだりして買ってもらったわ。


いい香りが常にする様に、さり気なく香水も選び抜いたモノを使っていた。



学校でバレない様にナチュラルメイクも必死で学んだわ。




競争率が激しい麗サマへの水面下でのアピール合戦も

クリスマス・イブが近づくにつれ

激化していた。




『今宵は誰と?お過ごしですか』


そんなセリフも聞かれ慣れてる俺様会長の雪人麗ゆきとレイサマは、


何やら学校でプレゼントするであろう大きな花束を

持っていた。




ウワサ通り……真紅の薔薇。

『レイ様ーーーー!!私に下さいませんか!』と……


あちらこちらで聞こえてくる。



遂に本命作ったか!!

プチ整形も、週末に終わった私は

麗サマの前に立ち、

勢い良く挨拶した。とびきりの笑顔で。




だけど……真紅の花束は……。

違う人へ渡った。





その女性は、、、。

教育実習生の若くてニコニコした

可愛いらしい先生だった。



だが?珍しい事もあるものだ。

俺様王子が、

ものの見事に振られたのだった。



麗サマは……あっそ。と…

素っ気なく、その場を去った。



その行き場の無い花束を無造作に私の机に置いた麗サマは…




『仕方ねぇから、お前にあげる。』

私はプチ整形で変えた顔を麗サマにまじまじと見られた。




(うわっ。ヤバい。)

高鳴る胸の鼓動は正直だ。

顔が熱を帯びて真っ赤になると、


次の瞬間、麗サマは声をあげて

お腹を抱えて笑い転げていた。





(へ??)

『お前、プチやる?前のが良かったかも?』


(ガ━l||l(0Δ0)l||l━ン!!)



そんな事言ったって…!

そんな事言ったって…!!



『今更何なのよ!!わたしは……あ…』





『ごめんな?俺の視線避けてたろ。どして?』

『……だって💦だって…』




『だっては無しだ。』

次の瞬間、私は、気絶しそうなホド麗サマの厚い胸板の中にいた。





『私の事振ってたじゃん……』



『お前が、俺をさせたんだよッ』





アゴを麗サマにクイッとされるとくちびるが触れそうで

触れない位置で私を翻弄する。



『俺が責任持つから。』

耳元でそう、囁かれると彼は、、、



わたしにペンダントを渡してきた。疑問に思い、

『真っ赤なランジェリーじゃ無いの?!』




そして彼は不敵な笑みを浮かべてこう話した。



アクセサリーって俺様流なの。』


チュッッと頬にキスされた私は、

夢見心地の腕の中で、



現実と夢の中の狭間に居るかの様な酔いしれる感覚で、


腰がくだけた。





わたしの王子様は……

いつまでも

いつまでも


強く抱き締めてくれていた。




夕日が落ちる頃に、

俺様会長の麗サマは……

嫉妬する女子生徒らを前に宣言した。




『オレの彼女に触れんじゃねぇ』



やる事なす事

むちゃくちゃなんだから。



そんな所も…キュン死なんだよッッ!

麗サマのイジワル!






[完]

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

2・5ZIGEN生徒会長選りすぐりの愛を回収致します? たから聖 @08061012

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ