第7話 同窓会がわりに見に行った舞台

2023/05/06


「六番目の小夜子」と言う舞台を見に行った。

 もう2年以上前の話になる。何故記憶しているかと言えば、志田こはくさんの初舞台だからだ。今では、もう、ドンブラザーズのオニシスターとしてのほうが有名だが。


 私は卒業した高校の同窓会に行ったことがない。正確には、職場内で、派閥があり、その高校出身の人が集まる会というのはあるのだが、高校の同窓会は行っていない。


 何故かと言えば、許せないからだ。いまだに私は彼らを許していないし、彼らは自分のしたことを忘れているだろう。


 だから。


 六番目の小夜子を見に行くと言う事は、私にとって同窓会に参加するようなものだった。


 見て思ったのは。


 舞台が1990年代初頭に設定してあるので、ちょうど自分の兄貴と同じ世代ではあった。


 自分の兄貴ははっきり言って、顔がいいだけの人間だが、かつては、優しい時もあったのだ。


 それが歳をとるごとに、インターネット右翼でも、ヘイトスピーチ、嫌がらせを行なう方向に働いたので、正直、右傾化と言っても、どうして、正しい情報を手に入れるようなことではなく、最も右翼にとって忌み嫌われる、ヘイトスピーチであったり、誹謗中傷にいってしまったのか。


 まだ当時の兄貴は若かったし、30代半ばだったと思うが、壊れていく兄貴をわたしはどうすることもできなかった。


 推しが演じる高校生は、かつての優しい兄貴に似ていた。


 もう兄貴は。あの頃の兄貴はいない。


 さよなら兄貴。


 昔の兄貴のこと好きだったよ。

 

 多分死ぬまで挨拶をすることもないだろうけど、お葬式には行くから。


 他の人に対しての墓参りは、雑におこなうけど、兄貴の墓参りだけはまともにするから。


 正直、兄貴とはもう、関係が修復する事はないし、関係が戻ることもない。


 だからこそ、私は私の人生を歩む。


 もういないんだって言うことを、高橋健介さんが演じる姿で見せつけられたような気がした。


 そして、自分の鈍感さにも気づかされた気がした。


 全員が全員素晴らしかったので、配信でもいいから、この作品をみんな見てほしいと思う。

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そこに碑はないけれど、高校時代の痛みは、そこにある。胸の中に、あちこちに。 荒川 麻衣 @arakawamai

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