第20話 暗殺


驚愕!!!!!!


梶山は凍りついた、リョウガがトイレのドアで首を吊っている!


「そ…そんな…」


ショックで動けない梶山を退けて佐藤と捜査官がリョウガを丁寧に降ろすと佐藤が叫んだ!


〝救急車を呼べ!!!〟



吊るされて直ぐの救出でまだ息があったリョウガ…


愕然としていた梶山の心に希望が芽生えた、命は助かる…

しかし脳が酸欠になっていた状態を考えると後遺症などの不安はぬぐえない、希望で不安を押さえながら心のバランスを保とうとする梶山が徐々に落ち着きを取り戻して来たころ救急車がやって来る…


梶山がリョウガに同行しようと救急車に乗り込むと矢野口からのメールが来た。


〝 偶然、こずえを見付けました…このまま尾行します 〟



メールを見た梶山は、矢野口に尾行が出来るとは思えず佐藤に電話して矢野口に代わってこずえの尾行をする様に頼んだ。



いつも矢野口に小バカにされる佐藤だが刑事の現場仕事は一流だ、直ぐに矢野口を見付けて尾行を交代した。






こずえは一連の流れを目撃していた…校長が屋上からリョウガの部屋のベランダにロープで降りて来るところ、梶山がリョウガのマンションに入って行くところも見ていた…

梶山を見て何故リョウガの救助に来れたのか不思議に思ったが直ぐに自分が監視されていた可能性を疑がったが今はドラッグマンの尾行を優先する事にしてベランダに集中する、降りて来た校長が屋上に上がって行った、ベランダに居たのは1分ほどだ…


この間に校長は窓枠に催眠液を撒いてリョウガを眠らせた、そしてまた屋上に戻り階段を下りリョウガの部屋のドアを開けた、カギはあらかじめ調べていたマンションの管理会社が使うマスターキーだ…

校長が部屋に入りドアを閉めると梶山が激しくドアを叩き出した、これには流石の校長も驚いたが中には入って来れないと踏んでトイレのドアを使いリョウガの首吊り自殺を演出して、またベランダから屋上に上がった、こずえは一度屋上に上がった校長がリョウガの部屋から出て来てまた屋上に上がるところも見ていた。


そして今も、こずえはマンションの出入りに集中している…



救急車が来てリョウガと梶山が病院に向かい鑑識隊員がマンションに雪崩れ込んだ後もドラッグマンらしき怪しい人物は見付けられない…

予想外の警察の動きにマンションから出られないで隠れているとも考えられるが現場には警官が大勢来ていてとても逃げられるとは思えない…

もしかしたら、出入口以外から何らかの方法で脱出したのではと思い自分は日本語学校を見張る事にしてタクシーで学校のある雑居ビルに向かう…

後ろからは矢野口と代わった佐藤が尾行している。



こずえは自分が監視されているなら今も尾行されてると思っていたが構わずに学校のある雑居ビルに入る。



佐藤は矢野口に、こずえがドラッグマンの居どころとしてピックアップされていた雑居ビルに入った事をメールで知らせて、スマホを内ポケットにしまうと何者かに肩を叩かれる…

恐る恐る振り替えるとこずえがいた!



「あなた刑事でしょ?」


現場での仕事に自信のあった佐藤は動揺した…こんな小娘に尾行がバレたとショックが隠せない表情になっている。


「な、何の事ですか…? 酔いざましに散歩してただけですけど…」


「1人じゃこのビルは見張れないの裏口を見張って」


雑居ビルで裏口を見付けたこずえは、1人での監視を諦め自分を監視している刑事と見張ろうと大胆不敵にも声を掛けたのだ。


余りにも堂々としてる尾行対象者に、もう誤魔化しは要らないと佐藤も冷静になり対話を始めた。


「見張るって何を見張るんですか?」


「ドラッグマンよ、警察がやるべき事でしょ…」


佐藤は気付かれた以上尾行は無意味だ、ならこずえの提案通り一緒にドラッグマンを見張るのが大事だと考える。


「分かった…」


「貴方は裏口を見張って」



電話番号を交換してこずえから離れると佐藤は矢野口に電話した。


: すいません、尾行がバレました…


: それはそれは…しかし巡査部長が気付かれると言う事は私が見張っていた時にバレてたのかも知れませんね…


佐藤は、怒りもせずあたかも自分に非があるかの様に話す矢野口に感動しながら、これから自分がどうしたら良いかを聞くためこずえが雑居ビルに入ってからの経緯を細かく説明した…





: なるほど、一緒に見張ろうと…


: はい…


: 多分応援を送る事になると思いますがしばらく一緒に見張ってて下さい…


: 了解…


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