恥ずかしながら、私はこれまで異世界転生作品を最後まで読んだことがありませんでした。
自分の好みと合わず、途中で挫折したことが多かったからです。
でも、ひょんなことから読んでみたこちらの作品は、ミステリー要素のある異世界転生もので、とても惹かれました。
まず何よりも文章が上手で読みやすい。展開も遅すぎず早すぎずで、ちょうど良い。
散りばめられた謎に、ぐんぐん引き込まれて、ページをめくる手が止まらなくなりました。
こんなに素敵な作品が、私の初めての異世界転生もので心から良かったと思います。
流行りジャンルが苦手な方も十分楽しめるので、ぜひ読んでみてください。
製薬会社勤めの青年、伏見洋士は、会社のビルから突き落とされて死んだ。
目が覚めた時、そこは異世界。剣と魔法の織り成すファンタジーな異世界で「カニー・シェスタ」として転生した彼は、魔法狩人である父に倣って自らもまた魔法狩人を目指す――その矢先に、黒頭巾の襲撃者の手にかかり、命を落としてしまう。
そして次に目を覚ました時。
彼は会社ビルの転落からかろうじて一命をとりとめた「伏見洋士」として、再び現世に舞い戻っていた――
本作の魅力の根幹を占めるのは、幾重にも重なる「何故?」の連続です。
洋士/シェスタは何故命を狙われるのか。どうして殺されなければならないのか。
彼の/彼らの命を狙う者の目的は何なのか。現世と異世界、その双方の襲撃者の間に浮かび上がる奇妙な符号は何なのか?
そもそもこの異世界は何なのか? どうして彼はこの「異世界」へ、幾度も「カニ―・シェスタ」として転生できるのか――?
仕立てこそ転生異世界ファンタジーですが、この物語の本質は執拗に命を狙われ続ける一人の青年がその謎を追い求めるサスペンスであり、何度転生を繰り返しても姿を変え形を変え襲い来る襲撃者へ立ち向かい、生き延びようと足掻く洋士/シェスタの、泥に塗れてもがくような生存のための戦いであると感じました。
転生して心機一転セカンドライフ!――といった類の軽妙な成功譚ではありません。
明るく楽しく魅力的なキャラクターとのかけあい、友情や親愛こそあれ、洋士/シェスタを取り巻く状況は過酷で、彼は幾度も打ちのめされます。
その理由を追い求める――止めどころがなかなか見つからず、次から次へとページを繰り、謎が解き明かされる瞬間を求めて読み進めてしまう。
本作はそうした仕立ての物語です。
一話あたまは短くサクッと読める仕立てなので、願わくば軽い気持ちで。
けれど、「これは面白いぞ」と思ったらなるべくまとまった時間を作って読むことをお勧めしたいです。
読書の止めどころが見いだせなくなると、翌日が寝不足になりかねませんので。
読み始めたときから完結していたので、レビューは読了後の方が作者様にとってより得心が行くかなと思い、少し時間掛かってしまいましたが完読したのでコメントさせて頂きます。
これが初作品かつ見切発車との事ですが、とてもそうは思えない完成度ですね。素晴らしいです。
(このサイトでも凄い数がエタってる様ですから。)
読者に適度にナゾと楽しさを織り交ぜて、そして今までに無い「死に戻り風転生」という展開で壮大なラストへと上手くまとめ上げていて良かったです。
ラストは一人の男の生き様、重い決断を立派にこなして単純ではないこれも味のあるエンディング、そして救いとなるか、読み手への解釈を預ける手法といい、これは映画化すべきでしょ、と言ったレベルの作品でした。
読めて良かったです。
主人公・洋士は普通のサラリーマン。
そんな彼は、ある時非常階段から突き落とされてしまう。そう、誰かに。
恨みを買ったような覚えはない洋士。そんな彼が次に目を覚ますと……そこは魔法の蔓延る異世界。そこで彼は、シェスタとして生を受けていた……!!
しかしそこでも、シェスタは何者かに殺されてしまう。やはりシェスタも、誰かに恨みを買われるようなことはしていない。
そして目を覚ますと……彼は洋士に戻っていた! しかもそこは病院。突き落とされ、死ぬことはなかったものの意識を失っていたのだった。
そして彼は殺され続ける。洋士は現実世界で、シェスタは異世界で──。
それはやがて彼の大事な人も巻き込み、被害も規模も大きくなり、二つの世界で大きな騒動となっていく──。
殺され続けて、意識が転移。その発想がまず面白いと思いました。どうして彼は殺され続けるのか? それを解いていく話となります。
これだけ見るとシリアスな物語ですが、この作品の魅力はそれだけではありません。キャラクター同士のコミカルな掛け合い、時にはラブコメ、時には涙を誘う展開、胸を躍らすアツい展開もあります。
この作品は先日完結しました。当然、彼が殺され続ける理由も判明しています。
何故彼は、殺され続けなければいけなかったのか?
彼は一体どうなるのか?
それはぜひ、皆さん自身で確かめてくださればと思います。
その結末をどう思うかも、今後がどうなるかも、全て貴方次第です。
全体的にページを捲らせるとっつきやすい文章、先の展開が気になり、更新を今か今かと待ちわびていました。そうさせる魅力が、この作品にはあります。
私個人としては、終わり方がとても好きでした。
ぜひ読んでみてください!
タイトルの通り主人公が現実世界でも異世界でも命を狙われる作品です。
命を狙って来る者の素性は不明。
目的も不明。
そこがまたミステリアスで読者を惹き付けます。
基本的な流れとしては主人公が現実世界で殺されかけ、紙一重のところで一命をとりとめるものの意識を失う。
その間に主人公は現実世界の記憶をもった別の人物として異世界で目を覚ます。
異世界でも誰かに殺されかけ、紙一重のところで一命をとりとめるものの意識を失う。
すると現実世界で元の人格として意識を取り戻す。
それを繰り返すというもの。
私はまだ54話読了時点ですが、主人公・洋士やその周囲の人物は洋士の命を狙う「存在」から彼を守るべく策を巡らし、敵の目的を知るために少しずつ謎に近づいていきますが、徐々に真相に迫りつつも謎は深まっているところです。
続きが気になります。
このような構成になっているため現実世界の洋士と異世界のシェスタの生活や成長やバトルを両方楽しめるというのも本作の魅力。
特に現実世界では同僚千種との関係性、異世界では両親や親友との関係性、さらに異世界らしい不思議な力を体得して戦う様子が描かれていて読者を楽しませてくれます。
また、非常にテンポ良くストーリーが進み現実世界と異世界を往復してメリハリが効いているうえに、文体も平易であるため飽きずにサクサク読めます。
主人公以外のキャラも魅力的です。
レビューをここまで読んでいただいた時点では「サスペンス」だらけの「シリアス」な作品、という印象を与えかねないかと思いますが、主人公の明るいキャラ、多くの個性的なキャラ、心理描写や会話の中に時折筆者が織り交ぜてくる笑いの要素もこの作品を気軽に読みやすい作品にまとめてくれています。
主人公はなぜ現実世界でも異世界でもこんなに命を狙われ続けるのか。
その真相に皆様もぜひご一緒に迫ってみませんか?