第7話 眠らない子羊

ベッドで抱き合う慈代やすよ恵人けいと

部屋のインターホンが鳴った。

「だれ?」

あずささんじゃない」

慌てて服を着る二人。恵人がドアの方に急ぐ。恵人がドアを開けるより先に、あずさがドアを開けて入ってきた。

「こんにちは。遅くなってごめん」

「いえ……」

部屋を覗き込むあずさ

慌ててTシャツを着る慈代の姿が見えた。恵人も慌てて今日のことを梓に伝える。

良太りょうた優香ゆうかさんは来られなくなって……慈代さんと僕だけなんです」

ベッドのそばに落ちていた自分の下着を慌てて隠す慈代。


梓は部屋の中の二人の様子を見て状況を理解した。

「あ、そう……そうなんだ。ごめんね。なんか二人のところ邪魔したみたいで……」

「いえ、だって、今日は梓さんの……」

取り繕う恵人。下を向いて梓の顔を見ることができない慈代。

「いいの、いいの、私は誕生日祝ってくれる人いるから……ごめん。タイミング悪くして。ごめん恵人君。私、今まで言えてなかったけど、付き合ってる人いるから……」

梓も動揺が隠せない。

「ごめんね。二人のとこを邪魔して……タクシー待たせてるから。じゃあ、帰るね」

急いで走って行った。道行くタクシーを拾い、去って行くのが見えた。


下を向いたまま、顔を赤らめる慈代。

「完全に気付かれちゃったね。私たちがそういうことしてたって……」

「今の梓さんの動揺はそうでしょう」


「でも、いいんです……なんか。梓さん最初から僕に気がないのわかってたし……慈代さんが僕を思ってくれてること……わかったし……慈代さん綺麗だし……」

「じゃあ、なんで、梓さんだったのよ」

「ごめんなさい。なんか、慈代さんって……とても……本当に、とても手の届かない人に思えたから……」


慈代は少し考えるようにして……

「……今は手が届きそう?」


うなずく恵人。


「じゃあ、ドア……きちんとロックして……私がどんな気持ちで、恵人君の梓さんに対する相談に乗ってあげてたか……つぐなってね。私の気持ちがえるまで……」


「ごめんなさい……」


「……うそよ。それは、それで楽しかったよ。でも、これからは、本当に私だけ好きでいてね」

うなずく恵人。


「これからはずっと二人で幸せになるの……」


手をつないで、部屋に戻っていく二人……



第二章へ続く

子羊たちは眠らない 第二章

https://kakuyomu.jp/works/16817330653547462349


「子羊たちは眠らない」

*これまでのすべての章*

子羊たちは眠らない 第一章

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子羊たちは眠らない 第二章

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子羊たちは眠らない 第三章

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子羊たちは眠らない 第四章

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子羊たちは眠らない 第五章

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子羊たちは眠らない 第六章

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子羊たちは眠らない 第一章 慈代 KKモントレイユ @kkworld1983

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