第4話

 おおじいさんなのか、それとも、全くの血の繋がりのない養子なのか。それでも、脈々と受け継がれてきた一つの夢。


井戸の底を思わせる蔵のような空間。積まれた石と時折落ちてくる砂と土。見上げれば空。しかし、光を嬉しいと感じることはない。


 毎日続く。

何も知らなくても、知らない者の前に更に知らない者や自分の子供が目の前に引き倒されても、毎日続く。

顔の黒い男は


なにかをやる。なにかするたびに、女子供、男まで、年寄りですら、知らない、おねがい、たすけて。


親の因果が、

子に報い。


まるで見せ物小屋の蛇女の登場を思わせるように。

声だけが響いている。想像してはいけない。調べてはいけない。映画なんかで見るかもしれない。


 それでもかつての青年は夢に悩み、死にたさを抱え、もがき苦しみ、たった一つの頼みの綱に、懸けるほども無いような弱々しくなった命を預ける。でなきゃ、本当に縄でも綱でも、紐のお世話になる。


この爪を引き剥がしたくなるような狂気を誰か止めてくれ。


 頼みの綱。たった一つの手掛かり。

 親の因果が子に報い。

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