第3章 除霊師 凛さま

第9話 あなたも「見えて」いますよ?

 突然こんな話を聞いても信じられないかもしれませんが、「霊」は実在します。



「えっ、心霊写真ですか? ああいったもののほとんどは偽物です。ですが、ほんの一部、一握りですが『本物』も混ざっています」



「霊なんか一度も見たことないって? それは違います。きっとあなたも目にしているんですよ?」



「『霊感』とか言いますよね? あれは霊が見える感覚やその人を指す言葉ではありません」



「霊を霊として見抜ける力を『霊感』と呼びます」



「意味がわからないって? そうでしょうね。では、ひとつ霊を……失礼、例をあげて説明しましょう。ただし、これを聞くとあなたは後悔するかもしれません……。ですので、相応の覚悟を持ったうえで話を聞いてくださいね?」




「霊は人混みを好みます。特にお祭りなんかは大好きですね。霊は、私たち『人』のように言葉を介しての意思疎通ができません。ですから、寂しいんです。そのため、人が多いところによく出現します。賑やかなところが好きなんです」



「あなたもお祭りに行ったことありますよね? でしたらきっと霊を見ているはずですよ? たくさんいますからね」



「えっ、だから見たことないって? そこは『霊感』の問題です。あなたは残念ながら霊感が弱いか……もしくは、無いんでしょう。ですから、霊を見ても人だと思っているんです」



「私が言いたいことがわかりましたか? そうです。霊は傷だらけだったり、足が無かったりするわけではありません。『普通の人』の姿をしてそこに現れます。ですから、霊感が無い方には残念ながら、ただの『人』に見えているんです」



「ほら? そう聞くと怖くなってきたでしょう? 今まですれ違っていた『人』と思っていたものが実は『人』ではなかったのかもしれない、と……。だから、相応の覚悟をしてから聞いてください、と言ったんですよ。これから人混みが怖くなっても私は責任とりませんからね」



「えっ、私ですか? 当然、霊感ありますよ。それはもう……普通の人とは比較にならないくらいに、ね」



「だって私、その霊を祓うのが使命なんですから。そうです、私は『除霊師』です」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る