『小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』

『小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』

 著者 大沢在昌

 角川文庫 本体七六〇円(税別)


 大学中退後、『感傷の街角』で第一回小説推理新人賞受賞してデビュー。『深夜曲馬団』で第四回日本冒険小説協会最優秀短編賞受賞。『新宿鮫』で第四十四回日本推理作家協会賞(長編部門)と第十二回吉川英治文学新人賞受賞。『新宿鮫 無間人形』で第百十回直木三十五賞受賞。『心では重すぎる』で第十九回日本冒険小説協会大賞(国内部門)受賞。『闇先案内人』で第二十回日本冒険小説協会大賞(国内部門)受賞。『パンドラ・アイランド』で第十七回柴田錬三郎賞受賞。『狼花 新宿鮫IX』で第二十五回日本冒険小説協会大賞(国内部門)受賞。日本ミステリー文学大賞受賞。『新宿鮫X 絆回廊』で第30回日本冒険小説協会大賞(国内部門)受賞。『海と月の迷路』で第四十八回吉川英治文学賞受賞。二〇二二年に紫綬褒章を授与されている、ハードボイルド小説『新宿鮫』シリーズなどで有名なハードボイルド・冒険小説・推理作家である。


 本書の文庫版より先に単行本(本体二四三〇円税別)が二〇一二年に刊行されている。文庫版は二〇一九年刊行。

 本書は、プロになりたい参加者を募集して絞られた十二人の生徒に一年間、小説講座を行い、『野生時代』に連載していたものをまとめて書籍化したものである。

 作家になるための大切な四つのポイント、「正確な言葉を使う」「自分の原稿を読み返す」「毎日書く」「手放す勇気を持つ」についてや、モチベーションについて、「小説には『トゲ』が必要だ」のアドバイスなどなど、創作に大事なことが多数、書かれている。

 最後の章には、デビュー後にどう生き残るのかが書かれており、「デビューして五冊が勝負」と著者は語っている。

 また本書には、特別講座「いまデビューができ、生き残っていける新人とは」が収録されている。大沢在昌さんと「カクヨム編集部編集長」「メディアワークス文庫編集長」「角川文庫キャラクター文芸編集長兼、角川ホラー文庫編集長」「小説野性時代編集長」の四名の編集者が新人作家に求めるものや近年投稿される傾向、ウェブ小説についても話をされているので、興味のある方はご一読されるとよろしいと思う。


 特に作家を志すものには大事な事が書かれている。

「書き手としてどうしても書きたいもの、訴えたいものを持っていないと、作家として長く生き残っていくことはできない」

 当たり前だけれども、技術や経験は積むことができても、自分が表現したいものや書きたい気持ちだけは、他人ではどうすることもできないのだ。


 本、文章術、作家論など多く語られ、エンターテイメント作家を目指す人夢絵の指南書と思われる。本書に登場する生徒と同じ課題を「あなた」も書いてから、生徒作品の要旨と講評を読むと勉強になると考える。

 カクヨムのKADOKAWA文芸にて、試し読みができる。どのようなことが書かれているのか、一読されるのも良い。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888586502

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