約束
手紙を開くと、ソウヤ理事長からのアドバイスが色々書かれている。
ホウの為に、シェッフルを使ってみたいと思っていたのだけど……。
そのやり方も、書いてある。
覚えられるかな?
俺は、シェッフルの出し方を頭に叩き込む。
二人での生活を頑張りなさいとか、困った事があればリズリさんに頼みなさいとか、後、もう一人助けてくれる方がいるらしいんだけど……。どうやら、必要な時にしか現れないと書かれている。
そして、手紙の最後に……。
【アーキー君。汚部屋スキルの事をホウ君には話さないで欲しい。もしも、アーキー君が散らかすだけのスキルだと知ったらホウ君は片付けをするだろう……。そうなれば、アーキー君が新しいスキルを習得する事は一生出来ない。そしたら、この世界に色は一生つかないのだ。だから、アーキー君のスキルの事はホウ君には話さないで欲しい。私は、アーキー君を信じているよ!異世界からきた君なら出来るはずだよ!だから、負けないで頑張って欲しい】
俺は、ソウヤ理事長の手紙の文字に固まっていた。
(自動抹消まで……10秒前)
「や、や、ヤバい」
干渉に浸ってる時間はなかった。俺は、慌てて手紙を池に投げ捨てる。
(自動抹消を開始します)
投げた瞬間、ボウッと大きな火の玉が手紙を包み込む。
これは、アパート燃えてたな……。
火の玉を見つめながら、俺は思っていた。
火の玉は、ゆっくりと水面に沈んでいく。
火さえも白い……。
「あ、危ない」
大きな声が聞こえて、俺は公園の外の道に走った。
「どこ見てんだよ!」
「信号は、赤だったぞ!」
「はーー?赤?白の間違いだろ。ハハハハ」
俺は、やり取りを見つめていた。
事故がなくならないんだよな……。
この世界は、白しかないから……。
ホウに言おうと迷っていたけど、俺は言わない事に決めた!
だって、俺はソウヤ理事長に約束したんだ。それに、ホウにも……。
俺がいた世界みたいに、色をつけるって決めたんだ!だったら、もう迷う必要なんてない。
俺は、急いでアパートに帰る。
「アーキーさん、大丈夫でしたか?」
アパートにつくとリズリさんが待っていてくれた。
「池のある公園で、手紙を読みました。こーーんな炎があがったんですよ」
「そうなんですか!アパートが、燃えていましたね」
「そうなんですよ」
俺は、両手で大きな丸を作ってリズリさんに説明していた。
「読めたなら、よかったです。安心しました」
「はい」
「また、何かありましたらいつでも言って下さいね。アーキーさん」
リズリさんは、ニコニコしながら部屋に入って行った。
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