第9話:こんな形で結ばれちゃったよ。

こんな形で、こんなにあっけなくメルバとの関係が終わるとは

俺は思わなかった。


まあ、当選するとは思ってなかった異星人との交流企画だし・・・

当たらなかったんだと思えば諦めもつくかな・・・。

諦めはつかないんだけど・・・。


そんなことを思ってた。


「ケイスケ・・・入っていい?」


「ん?メルバ・・・ 」


「入っていい?」


「いいけど・・・」


俺は部屋のドアを開けた。

そしたらメルバが泣きべそをかきながら立っていた。


「なになに・・・どうした?・・なんで泣いてる?」

「まだショック受けてるのか?」

「俺のやったことって、そんなにひどいことだったのか?」


「そうじゃなくて・・・」

「私・・・やぱりケイスケと別れたくない」


そう言うとメルバは絨毯の上にヘタレこんだ。


「だってケイスケのこと好きなんだもん・・・別れられないよ」


「俺のこと許せないんだろ・・・」


「ケイスケ・・・メルバの本心だよ」


「ピーチ・・・」


「俺には分かるんだよ・・・メルバが思ってること」


「メルバ・・・そうなのか?」


「ケイスケ・・・」


「俺は、はなっから別れたい訳じゃなかったから、別れたくないって

言ってくれて嬉しいけど・・・」

「ほんとにいいのか・・・許してもらえるのかな・・・ヨリを戻して

後悔しないか?」


「後悔もなにもケイスケと別れちゃったら、もっと後悔するよ」


「俺の気持ちは決まってるから・・・メルバさえよかったら

今まで通り・・・俺の彼女でいてほしい 」


「私から、おしまいって言っときながら・・・別れたくないって

わがまま言ってごめんね 」


「いいんだよ・・・でも正直ホッとしてる」

「じゃ〜トマトジュースの件は・・・・」


「許す・・・トマトジュースも飲んでみる・・・」


「無理しなくてもいいよ、嫌なら飲まなくていいから・・・」


「ごめんね・・・ケイスケ」


「だから・・・謝らなくていいから」

「ほら・・・泣いてないで・・・」

「おいで・・・」


俺はメルバを引き寄せて優しく抱きしめた。


「いいんだ・・・もう泣かなくていいよ・・・大丈夫だよ」


「ケイスケ・・・抱いて・・・」

「ん?・・・抱いてるじゃん」


「そういう意味じゃなくて・・・エッチ・・・して・・・」


「え?・・・あ・そう言う意味か・・・」


「いいけど・・・でもピーチが見てるし・・・」


「俺は見て見ぬ振りしとくけど・・・」

「気本的にはメルバにくっついてるから、完全に知らんぷりするのは

無理だけどな・・・」

「でも邪魔はしないぜ・・・眠っといてやるから」

「おまえらセックスでもエッチでも好きにやれば?」


「ね・・・いいよね・・・私、ケイスケと仲直りしたいから・・・」


「分かった・・・仲直りだ・・・メルバはどこにも行かせない」

「俺が愛してるのはメルバだけだよ・・・」


こんな形で終わるって思ってたのに、こんな形でメルバとエッチするとは

思わなかった。


メルバとの初めてのエッチ、ってことになって・・・ドキドキして気持ちが

焦る焦る・・・アドレナリン出まくり・・・。

エッチする前から、汗が・・・・落ち着かなきゃ・・・。


俺の部屋で・・・俺のベッドで・・・それはキスから始まった。

最初はチュってして・・・ハードにディープに・・・。

僕の精一杯の愛撫・・・前戯でメルバは、恍惚に浸った。


メルバの中に入ってはじめて俺たちはひとつになれたって思った。

人間の男とバンパイアの女は星を超えて結ばれたのだ。

バンパイアって人間の女性とは、性感がかなり違うみたいだ・・・。

メルバは異常なほどの感じ方だった。


「ケイスケ・・・今度は私が上になる・・・」


そう言ってメルバは、仰向けになった俺の上に体を沈めた。


長い髪が俺の顔にかかる・・・無造作にかかる髪はメルバをセクシーで

淫らな女に感じさせた。

そしてメルバのうつろな瞳・・・吸い付くようなクチビル・・・。

むさぼるようなキス・・・絡みつく舌。

メルバのクチビルに引力が微妙に影響してるのかとても福よかで、柔らかくて、

粘っこくて最高に気持ちがよかった。


メルバの吐息が俺の顔にかかる・・・桃の甘い香りがした。

それだけで俺はゾクゾクした。


「ケイスケ・・・血、吸ってもいい?」


「ああ・・・いいよ・・・」


メルバは俺の首筋に歯を立てた。

痛いのかと思っていたが、痛いと感じたのは最初だけだった。

メルバが俺の首から血を吸い始めた時・・・俺はいいしれない快感に打ち

ひしがれた。

まるで射精した時のような感覚が何度も押し寄せてくる・・・そんな感じ。

俺の下半身は無意識にグラインドしていた。


「ケイスケ・・・動かないで」


「そ・・・そんなこと言ったって体が勝手に・・・」


たしかに俺たちは合体してるんだけど、血を吸われるってことのほうが

普通のセックスなんかとは比べ物にならないくらい極上の快感だった。


血を吸われるってこんな感覚?なのか・・・?

これはやめられないよな・・・血を吸う側より吸われる側のほうが常習者に

なっちゃうよ 。


吸ってもらわないと、この先禁断症状が現れそうだ。

これはきっとクセになる。

これで、この経験で俺は完全にメルバに依存してしまった。


結局、トマトジュースは違う意味で俺のために役にたってくれた。


こんな血を吸われながらのすげえセックス毎回してたら死んじゃうよ。


つづく。

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