第29話

なんでも話せる仲だから。

彼とは、仲直りができた。

「怒らないで聞いてね。貴方、童貞?」

「在有が初めての彼女だよ」

「彼氏彼女じゃなくてもできるもの」

私はしなかったし、できなかったけど。濡れるというのもよくわからない。

「私で勃つ?」

彼氏は狼狽えた。

「わからない。抱きたい、みたなふうに、見れたことがない」

私は仲直りがしたい。ソーダが飲まれ蕩けたアイスの残った容器を眺めながら。

「いつか、わたしをそういう目で見て」

言葉を絞り出す。

彼も私と他人か友人に戻りたいわけじゃないようだった。

「君が他の人に見せた場所を、僕に優しく触らせてくれるなら」

いつか。

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