第26話
果たして早朝五時のファミレスは。
「けっこう人いるじゃん!」
私は親友彩美、アヤが美しい顔を歪ませながら、ああ、この顔でお局と戦ってアヤは変わってしまったんだなと思ったことを、彼女の表情を真似するようにして使いながら思う。
この現状に抗議する。
「じゃあ、僕の家くる?」
「電車で二時間も先じゃない」
「言ってみただけ」
彼のことがわからない。でも彼も多分私のことが今わからないだろう。
「LINEで話そう」
「わかった」
彼がスマホ取り出し画面を見て。私も白いリュックから大事にスマホを取り出す。
ぽこん。
私が悪かったの。
まずそう送る。
「なんで」
「百均に苦手な人がいて、その人高校も出てなくて、国から借りるにしても奨学金は借りるお金、つまり借金だ、って。」
彼は考え出した。話を続けるつもりでスマホをに目を落としながらメッセージと心の気持ち、両方引き出してくれる。
「それだけじゃないんだけど、彼女という生き様と彼女の言動、シフトが被ることは苦じゃなかった。ただ、こころのなかで、けなしてた。彼女は、二十五で、正社員じゃないの。」
たぶん結婚もしていない。
「それでもそんな人たち助けられてきた事もあったじゃないか」彼が最もな事を言う。いつもの通り姿勢良く聞きながら彼の顔を見れない。彼の方が身長が低く、座高が低いため視界にはしっかり入る。
「それで、からかってしまおうと、私、アルバイト先の真中って人と、彼女が会話に加われない話をたくさんした。もちろん無視はしてない。聞かれたらその都度ちゃんと答えた」
ただ。
「ある日、私達、その小林さん。フリーターが真中を好きだと思って、休憩室でキスするフリをしたの」。
彼がまた考え出す。口元に縦に作った拳を据える。
「悪ふざけで、いい気になってた
特別熱い日でもなんでもなかった」
でも熱病に浮かされるように。
「アルバイト先でそんなことしてたら、カメラに映るよ、場所によっては。二週間くらいで消えるけど」
チェックしてるところはチェックしてる。
気をつけなきゃ。
ぽこん。
それで?
「怒ってない?」聞いてみる。
彼は悩んだ。
「浮気されたとか、そういうわけじゃない。ちょっと胸焼けみたいな、心象の悪さは感じてる」
なにか頼もう、なにがいい。
メロンソーダ。
フロートだね。
ぼくはコーヒーにする。
メニューも見ずに注文する。子供の頃のようにあのクリームソーダが飲みたかった。たとえ細部が違っても。
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