第3話

家族で引っ越した時。私は何にも属していない状態に耐えられない心境から。

大学の最寄駅構内に入ったテナントの一つ、ひらおか書店へアルバイトで入職した。


だって大学はこっちだもの。


卒業して就職したらどこに配属、転勤があるかわからない。だからいまのうちに。大学では語学を学んでいたので母と海外旅行やジャニーズのLiveまで、行ける時は行く行動派だ。


通学する大学の講義がない日、間が空いた隙間時間。私は書店でアルバイトをした。


憧れだった。

買った本に対してすっきりと線を引く様に。

サイズを合わせてカバーをかけてくれる店員。

まさか入荷待ちの本が収納してあるのでは?!と思って怪しんでいた本棚の下の収納スペース。

ワゴンに乗せて新刊を運び店頭にディスプレイしていく。


そう、書店員!


毎日駅構内を通りながら、その日大学で読む本や電車内で読む本、買った新刊を、お金を使ってまでロッカーを使い、仕舞い込む。


その時の私は無だ。

普段は倹約家で、100円玉のことをしっかり胸に、刻み込んでいる。

お金の管理はしっかりしている。

しかし、我が家は全員、本に取り憑かれている。

大型蔦谷なんて行ってしまえばもう。

ハードカバーの本を傷がつくかつかないの勢いでカゴに八冊くらい、毎度母と放り込む。ちなみに漫画は電子派だ。周囲にも結構いるが、気に入った作品は、当然紙でも買う。


月三十冊以上は読める。子供の時から絵本は図書館を蝕む本の虫の様に消化していき、内容を味わい消化していく。母も当然一緒に読む。


私達は物語を飲み込んでいく。

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