第29話 RINGコラボ配信! 第二ゲーム NGワードゲーム 前編


……


「それでは…、第二ゲームのNGワードゲームをやっていきたいと思います!」


「「イエーイ!」」


itoで使ったカードを全て回収した後、俺たちは第二ゲームであるNGワードゲームを始めようとしていた。


今は、俺たちからでも、コメントや配信画面が見えるようになっており、みんながどのような反応をしているのかや、配信画面がどんなふうになっているのかも確認することができる。

ちなみの今は、先ほど入力した数字も全て消えており、右上にはNGワードゲームと、今からやるゲームが書かれている。



『ito面白かった!』

『NGワードゲームとか絶対おもろいやん』

『…正解できなかった…』

『NGワードゲームなら、俺でもわかるぞ』

『楽しみだ』

『ItoからのNGワードゲーム…、いい流れ』

『どんなワードがNGになるんだろう』


おおお…。

コメントがすごいスピードで流れていっている。

やっぱり、すげーなー…。

さっきまでは、コメントをみることができていなかったから、改めて見て、感じる。


「まず、NGワードゲームの説明をしますね。このゲームは、それぞれに、NGワード…いわゆる、言ってはいけない単語が指定されており、みんなでの会話中に、その単語を言ってしまった人が負けというゲームですね」


多分……このゲームなら、みんなわかるんじゃないか?さっきのitoは、知らない人もいたかもしれないけど、このゲームはもう名前の通りだからな。


「結構有名なゲームですよね!私も、昔友達とやったことありますね」


「分かります。実際のやったことはないですけど…、ミューチューブでたまに見たりしますね。なんだったら…、昔、シーズンの皆さんでやっていたのも見ていましたね」


…あー…!俺もアーカイブで、その配信を見たなー。しかも、vtuberというのを知って、間もないころ……、ちょうど面接を受けた頃ぐらいに見たものだから、記憶に残っている。


「あ!私も見てたなー…。懐かしい」


「俺は、配信では見れなかったので、アーカイブで見てましたねー…」


…正直なことを言うと、この配信が行われていた当時、俺はまだvtuberというものを知らなかったんだよな…。

だから、配信では見れなくて、アーカイブで見たって言ったんだけど…。少し罪悪感…。

まあその分…、ここ数ヶ月は、ファミールの先輩方の配信を見まくっていたけどね…!


『俺も見てたなー』

『懐かしっ!』

『1、2年前かな?』

『やっぱ、みんな見てたんだな』

『俺も切り抜きで見た!』


コメントのみんなも見ていた人が多そうだ。

シーズンの先輩方は、マジで人気だからなー…。見ていた人が多いのも当たり前だと思う。


「私も見ていましたね。懐かしいです…。もし、今みている人たちで、まだその配信を見ていないという方たちは、ぜひ見てみてください。面白いですし、ルールもすぐにわかると思いますので」


ゆずき先輩もみていたんだなー…。

やっぱり、ファミールの先輩たちも、よくメンバーの配信を見ているのかもしれないな。

みんな、仲がいいんだろうなー…。

俺もそうなれるように、頑張っていかないと。


「それでは、早速ですけど……、見ているみなさんも、このゲームなら、すぐにわかっていただけると思いますので、早速ゲームの方をやっていきましょうか。ちなみにですけど、私はこのゲームからは、ゲームマスターの方に回りますのでよろしくお願いします」


お、もう始めていくのか。

よし……、どうせやるなら、一回もNGワードを言わずに、終わりたいな。

俺が言わずに、二人に言わせる…。

……難しいか…。


「まずはー…、それぞれのNGワードを決めていきますね」


…お、このゲームの一番大事なところだ…。

もう、このワードによって、勝敗が決まると言っても過言ではないからな。できれば、俺があまり言わない言葉であってほしい。


すると、ゆずき先輩の声を聞いて、スタッフの方達が、また、コメントと配信画面を見えないようにする。


「NGワードの方は、すでにこちらで決めてあります。今から、自分以外の二人のNGワードが書かれている紙を渡しますので、そちらをご覧ください。そして、みている皆さんには、3人すべてのNGワードを見せますので、一緒に楽しんでいきましょう」


ゆずき先輩の言葉と同時に、スタッフの方が、一枚の紙を手渡してきた。


これにワードが書かれているのか…。


俺は、その紙を見る。


——————————————————————


NGワード


凪威シズ : 家

和泉もみじ : 推し


——————————————————————


——————————————————————


配信画面


宇多黒レン : テレビ

凪威シズ : 家

和泉もみじ : 推し


——————————————————————



『どれもいいそうではあるなー』

『内容によっては、どれもすぐいいそう』

『ファミールの話しになったら、もみじちゃんすぐ言いそうw』

『家とか案外言わなそうだよな』

『見守っていよう…!』



うおお、なるほど…。

シズさんのNGワードが家で、もみじさんが推しか。

これなら…、ファミールについての話しをしていれば、どっちもいいそうだな。

ただ、俺のNGワードも、そっち方向の可能性もあるんだよなー…。

やばい、NGワードのことを考えすぎて、ちゃんと話しができるか不安だな…。



「もし、NGワードを言ってしまったら、私が言いますので、注意して話してくださいね!」


「「わかりました!」」


よーし、がんばるぞ。


「では…、スタートです!」



………


俺は、一旦黙って、二人の様子を伺う。


俺から話しを振ってもいいのだが、もしかしたら、二人が話しを始める可能性もあるからな。


決して、俺から話すのが恥ずかしくて、黙っているわけではないぞ。うん。


「うーん…、あまり考えすぎてもなんだし、一旦普通に話そうよ!」


シズさんがそう言う。


やっぱ、こう言う時に話すのはシズさんからだよなー…!本当に助かります。

それに、シズさんの言う通りだな。配信中なのに、考えすぎて、黙るのは絶対やってはいけない事だからな。


「そうですね。じゃあ…何を話しましょうか」


もみじさんが言う。


「そうだねー。だったら…、折角だし、ファミールについて話そうよ!」


ファミールについてか。ありだな…!

初めて会った時に、少し話した記憶があるけど、そこまで深い話しとかはできなかったからな…。


けど…、これ、シズさん言わそうとしてるな?

もみじさんのワードもそうだし、多分、俺のワードもそっち方向なんだろうな…。

でも、シズさんのNGワードである、家も、もしかしたら言う可能性もあるからな。

楽しくなりそうだ…!!


「いいですよ。俺も、改めて話したかったですし」


「私もいいですよ」


「なら決定だね。じゃあ、二人はさ、どうやってファミールを知ったの?」


ファミールを知った経緯か。


「俺はー、歌関連からですね。元々、歌が好きだったから、先輩方の歌ってみたをミューチューブで見つけて、そっからハマりましたね」


本当は、応募を見つけてから、歌を聴いて、ハマった感じだけど、少し省いて言う。


先輩方の歌って見たはどれも良かったからなー…。

歌上手い、絵とかMVも綺麗、ダンスも上手い…。

そこに惹かれていたのは確かだ。


「私も似たような感じですね。歌を聴こうかなって思って、少しミューチューブのショート動画を見ていたら、とある人……私の最推しである、椿のぞみ先輩に出会ったんです!そこからですね、私がファミールにハマったのは」


なるほどなー。確かに、初めて会った時にも、そのようなことを言っていた気がする。

けど、ミューチューブのショート動画から知ったんだなー。もみじさんの最推しである、のぞみ先輩に。今は、ショート動画の方でも、いろんなvtuberの方が動画をあげているから、そこから知ることもあり得るな。うん。




………


………




うん?

最推し…?



「「あっ」」


『あっ』


「もみじさん、アウトです!」


「…え!?もう言っちゃいましたか!?」



『早すぎて草』

『話題的に言うかなーって思ったが矢先に言ったわw』

『www』

『もみじちゃーん!w』

『けど、これシズちゃんも上手いな』



はやい……早すぎる!

これから、どんなふうに言わせようかなー、シズさんの方をどうしようかなー、って考えてたんだけど…、まさかの数十秒で終わってしまった。

俺も、いきなりすぎて、気づくのに時間がかかってしまったぐらいだからな…。



「もみじちゃん……はやいよ!」


「俺もびっくりしましたね…」


「それは…ごめんなさい!……でも、私もまさか、言うとは思わなかったんですよ…!」


それはわかるな…。

多分、俺がもみじさんの立場でも、同じように思ったと思うし、こんな序盤に言うとも思っていなかったと思う。


「…あの…、私のNGワードって…」


「もみじさんのNGワードは、推し ですね」


「あ…なるほどー…。…シズさんにやられましたね…」


「あ、俺も、シズさん仕掛けたなって思ってました」


「えへへー…。まさか、こんなすぐ言うとは思わなかったけどね!」


そう、考えすぎのせいで、黙らないようにしつつ、話しやすい環境を作る。

そして…、NGワードを言いいそうな話題を作る。


よく考えられてると感じる…。

なんなら、少しこわいって感じもしちゃったからな…。


「やられました…」


「けど、こんなもみじちゃんを見るのも新鮮だなー」


「確かに、このもみじさんは初めて見る…」


「……なんか恥ずかしいので、やめてください…!」



『はい、可愛い』

『初配信の時とも全然違うな』

『これで沼にハマるんだよな』

『可愛いすぎ』

『いいものを見た』


うん、やっぱこのもみじちゃんは新鮮だ。

いつも真面目で、慌てているところや、焦っているところも見ないから、こういうところを見れて、少し嬉しい。


「…えーっとですね…。本当だったら、一人が言ってしまっても、そのまま残りの二人が言ってしまうまで、続けようと思っていたんですけど…。思ってた以上に早く言ってしまったので、また、全員に新しいワードをまた配りますね」


「…すいません…」


「いえいえ、折角のコラボ配信なんですから、もっと楽しみましょう」


「ありがとうございます!」


ゆずき先輩の計らいで、もう一度、初めからやることになる。

俺としても、3人で楽しみたいから、これは嬉しい。流石に早く終わりすぎていたからな。


けど…


「俺たちのNGワードってなんだったんですか?」


「それ!私も気になります」


あまりにも早く終わってしまったから、そこまで気になるって言う訳ではないけど、どんな感じのワードだったかは気になるから、聞いてみる。


「レン君はテレビ、シズさんが家ですね」


「テレビだったんですかー…」


もう少し、ファミールや配信よりかなって思ってたんだけど…、そうではなかったな。

けど、テレビだとは全然思っていなかったから、そっちに持って行かれたら、危なかったかも。


「…私、以外と言いそうだったかも」


「そうなんですよ…。私も本当は、それを言わせようと考えていたんですから…」


「あはは…。なんかごめんね」


「…まあ、いいですよ。次は絶対言いませんし、二人に言わせますから…!」


…もみじさんのやる気が、一気に上がったな…。

ここまで上がっているもみじさんも、そう見ないぞ。


「私も負けないよ…!」


「俺も負けません…!」


こちらとしても、負ける気はない。

絶対、言わないようにするぞ!


「…ただ、もみじさん」


「…なんですか、レン君…」


「……次も、すぐに言わないようにしてくださいね」


「……はい、肝に銘じておきます」


俺は、一応のためにもみじさんに言っておく。

なんだか、こんなことをもみじさんに言うのも不思議だけど……こう言うことを言えるようになったのは少し嬉しい。


「それでは、今から改めて、紙を配りますね」


よし、改めてがんばるぞ…!


——————————————————————


本当は、分けずに一つにしようと思ったのですが、長くなりそうだったので、一旦ここまでにします!


誤字脱字等あれば、よろしくお願いします。

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