第28話 RINGコラボ配信! 第一ゲーム ito 後編


「それでは…本番をやっていきましょう!」


『イエーイ!』

『本番も頑張れ!』

『俺も予想しながら聞こう』

『楽しみー』

『お題も気になる』

『練習みたいにうまくいきますように』


ゆずき先輩はそう言うと、俺たちのカードを回収して混ぜて、再びカードを配っていく。

さっきは、難しい感じのところを引いてしまったからな…。次は、どちらかによっていて欲しいな。


「ではみなさん、それぞれのカードを見て、数字を書いておいてください」


俺はそれを聞いて、自分のカードを見る。

俺の数字はー……41。(※レンの数字だけは見せます。コメントには見えていません)


「…なるほどー」


俺は小声でそう呟く。

微妙なところをいったなー…。

さっきも62と地味なところを言ったのにな…。

まあ、1から99と幅が広すぎるから、こうなることはしょうがないか。それに、さっきは半分よりも上だったけど、今回は半分より下で、またさっきとは違う感じだからな。


「なるほどねー…」


「…ふむふむ」


俺は少し左を見て、みんなの顔の様子を伺うけれど……そこまで顔には出ていなかった。

少し喋ってはいるけれど、顔には出していない感じだ。


俺は、その数字をまた画面に書いていく。

今回はコメントのみんなも俺たちの数字がわかっていないからな。

是非とも一緒に楽しんで欲しい。


「…皆さん、書き終えたようなので……テーマの方の発表にいきますね」


きた…!やっぱり、テーマで全てが決まるといっても過言ではないと思うから、俺はゆずき先輩の声に注目する。


「テーマは……欲しい特殊能力です!!」


『特殊能力キター!』

『これは真ん中あたりがきつそうだな』

『案外わかりやすい気がする』

『定番が来たな…!』

『よし、俺も当てに行くぞ』

『意外とむずそう』


「特殊能力かー…」


「おー!面白いテーマかも…!」


「特殊能力ですか…。少し難しいですね」


「身近なものではないですからね。けど…そこもitoの面白いところです」


「わかります!」


そうなんだよなー。日常で使うことがないものを、頭で考えて、作ることができるんだもんな。

それに、特殊能力って、人によっていろいろなものが考えられると思うから、それも楽しみだ。


「特殊能力…」


俺は数字を見ながら、再びそう呟いて、特殊能力を考える。

……むっっっずいぞ…!

なんだ…、41ぐらいに欲しい特殊能力って…。

俺は頭をフル回転させながら、色々と考え始める。

今回は、一番初めにいくのは無理かもな…。


「もし、思い浮かんでいたら、言ってもいいですからね。正直、私も今、悩んでいますので…」


ゆずき先輩も悩んでいるのか…。俺と同じ微妙なところを引いたのかもしれない。


「なら、私いってもいいでしょうか?」


「いいですよ、もみじさん」


俺たちが悩んでいると、もみじさんが、一番初めに立候補をした。

できればわかりやすいところを言って欲しいけど…何をいうんだろうか…。少しワクワクする。


「私はー…、行ったことがある場所ならどこにでも一瞬で行けるっていうものですね。…俗に言う、ルーラみたいなものですかね」


『あー、なるほど…』

『これは高いでしょ!』

『これは全人類が欲しいだろうからな』

『わかりやすい』

『流石にもみじちゃんが一番上そう』

『…欲しすぎる…』


「これはー、高いですね…!」


「そうだねー…!行ったことがある場所っていう制限はあるけど…、それを差し置いても一番上だと思う」


「確かに…私も高い方だと思いますね。なんなら、私も使ってみたいですしね」


「わかります!それさえあれば、家から事務所に行くのも楽だし…!」


あー…、めっちゃわかる。

地味に、家からここにくるまでに、電車を使ったり、たまにタクシーを使ったりと、公共機関を使わないといけないからな…。

それがあれば、一瞬で来れる。


「私の数字的には、これが一番当てはまるかなって思いますね」


うーん、どれぐらいだろうな…。

俺の予想では、80ぐらい。もし、どこにでも行けるとかなら、95ぐらいはありそうだけど、行ったことある場所だと、行きたいと思っても、行ったことがないから、それが使えないっていうことが起きちゃうからな。その分下げて……80ぐらいかな。

まあ、それでも、めちゃめちゃいい特殊能力なんだけどね。


「では、私が言いますね」


お、次はゆずき先輩か。

どんな特殊能力を思い浮かんだんだろう…。

そこが気になってしまう。


「私はですね……、100m先のものまで正確に見えるっていう能力ですかね。まあ…言い換えれば、視力がとても良くなるっていう感じですね」


『…数字予想がむずい!』

『俺的にはいらないけど…』

『目が悪すぎる俺からしたら欲しすぎる』

『けど…半分よりも少し上な気がする』


「難しいとこいきますね…」


「私は欲しいなー…、最近目が悪くなってきてるからね…」


「わかります…。スマホとパソコンの使いすぎでしょうか…」


「俺もですね…」


やっぱ、スマホとパソコンの影響か、視力の落ちが著しいんだよな…。

しかも、vtuberになったてことは、これから先もパソコンはよく使うと思うから、もっと注意しておかないと……。

……そう考えると、この能力めっちゃ欲しいな。

100m先まで見ることはそうないと思うけど…。


「私もよく考えたんですけど…、これがしっくりくるんですよね」


「けど…俺的には高いんじゃないかなって思います」


「そうですね…、私もレンくんと同じですね。私よりも少し低いぐらい…ですかね…?」


「私も、もみじさんよりも低いと思いますので、一旦、私、もみじさんという順番でいいと思いますね」


「そうですね…!なら、次私行きます!」


ゆずき先輩に続いて、シズさんが立候補をする。

俺が一番最後か…。

まあ…正直なところ、まだちょうどいい能力が思い浮かんでいなかったから、ちょうどよかったかな。

シズさんの能力を聞いている間に、いいものを考えださないとな…。


「私の能力はですね……、じゃんけんに75%の確率で勝てるようになるという能力ですかね」


『じゃんけんできたか』

『75っていうのがな』

『真ん中あたりだな』

『絶対勝てるだったら、結構上な方に来そうだけど…、75%か』

『難しくなってきた…!」


「あー、なるほどー…」


じゃんけん……じゃんけん…しかも、75%ときましたか…。

俺的には、もし絶対に勝てるだったら、70、80あってもおかしくはないと思っている。だって、賞金をかけていたりしたら、絶対に貰えるんだからな。……男気だったら絶対負けるけどね。

けど、75%だからなー…。勝つ確率はだいぶ上がってはいるけれど、やっぱり、もう少し低くなるのかなって思っている。


「そうきましたか。…こうみると、3人それぞれ異なった能力を出しているんですね。面白いです」


「行ったことがある場所ならどこでも行ける、目がとても良くなる、じゃんけんに75%で勝てる……。確かに、3人とも別の角度から攻めますね」


…確かに、3人のをもう一度聞いてみると、それぞれ異なっていて面白い。

こういうところもitoの面白いところなんだよな…!


「わかります…!ただ…、こう…、連続して聞いてみると、やっぱり私のは二人よりも低いように感じますかね。私としても、二人の能力の方が欲しいですし」


「…まあ、俺ももみじさんとゆずき先輩の能力の方が上かなって思います。けど、シズさんの能力も欲しいですけどね。俺、じゃんけんクソ弱いんで…」


俺の昔からの悩み。じゃんけんが何故か弱いんだよなー…。特に肝心なところで負けたりもしていたからな…、懐かしい。


「レン君……。なら、後でじゃんけん3本先取で勝負しようね!」


「え……、まあ…遊びでならいいですよ」


シズさんからの誘いに少し戸惑うけれど、それを受け入れる。

最近はじゃんけんなんてやってこなかったからなー…。……ちょっくらここで勝てるようにしときますか…!…多分全敗だけど。


「負けは、渾身のダジャレを次の配信で披露!」


「絶対にやりません!!」


危ない…危なかった…!

俺はもう、初配信で痛い目を見ているんだ…、もうあんな失態を繰り返しはしない!


「えー…!絶対面白いのに…」


シズさんが落ち込んでいるように見えるが…、これだけは絶対にやらない!


『お、楽しみが増えたな』

『レン君、次の配信楽しみにしてるね!』

『…ワンチャン、シズさんがダジャレを…」

『いや、これはレンが負けるパターンだ』

『また、ダジャレシリーズが増えるのか』


……なんだか、コメントの様子がおかしなっていそうな予感がする。見えていないけど……、俺の勘が言ってる。



「…うふふ。お二人が、盛り上がっているところ悪いんですけど…、itoの続きの方を…」


「「あ……、ごめんなさい」」


俺とシズさんがゆずき先輩に注意をされる。

少し脱線をしすぎたな。今は、itoに集中しよう。

…ていうか、俺の番じゃないか…?


「そうですよ、二人とも。配信中でもあるんですから、今はitoに集中しましょう。…………ワタシモマザリタカッタ…」


ゆずき先輩に続き、もみじさんにも…。最後の方は聞き取れなかったけど、ちゃんとやらないと。


「では、一旦、シズさん、私、もみじさんということで行きましょう。ということで…最後、レンくんお願いします」


「わかりました」


さあ、俺の番だ。

ちょうど41っぽい能力…。


「俺はー…、一週間に一回、身長を10cmまで小さくすることができる能力ですかね」


『10cmまで小さくできる……』

『大きくはできない感じか』

『…わからん…!』

『しかも、一週間に一回か』

『大きくならまだしも……小さくか』

『…いる?w』


「身長を小さくできる能力ですか」


「これは大きくできない感じ?」


「そうですね。俺的には、小さくできるだけです」


めちゃめちゃに悩んだが、このぐらいがいいんじゃないかなと感じた。

一週間に一回、10cm、小さくできるというところで調整した感じだな。

…ちょっと…、制限しすぎかなって感じたけど…、まあ、大丈夫だろう。


「……これはー、どうですかね?」


もみじさんが、全員に聞く。


…うん、俺も自分で薄々感じてるよ。


「…多分、レンくんが一番下じゃないかな?」


「そうですね。私もそう思います」


「…俺も、全員のを聞いていた時から、下だなって思ってましたね」


若干、シズさんと近いかなって感じたけど…、俺だったら、75%でじゃんけんに勝てる能力の方が欲しいからな。


「もし、高くもできるんだったら、変わったんだけどね」


「わかります。私も、身長は伸ばしてみたかったので」


「一週間に一回でもいいから、欲しくはなりますよね」


シズさん、もみじさん、ゆずき先輩の順に話すして、うんうんと頷きあっている。


確かに……、女性からしたら、身長を高くできるっていうだけで、少し価値は上がると思う。

男でもそうなんだけど、日本の平均身長だと女性の方がだいぶ低くなっていたはずだからな。

…まあ、男の俺でも、もっと伸ばしたいとは思うけど。


「では…、レンくん、シズさん、私、もみじさんという順番でいいですかね?」


ゆずき先輩が最後にまとめる。


「はい、大丈夫だと思います」


「私も、いいと思います!」


「私もですね」


「わかりました。では…この順で決定します!」


よし……、少し不安ではあるが、全員のを聞く限り、この順が一番しっくりくるからな。

あってると信じよう。


『俺はちょっと違うな…』

『シズさんとレン君が逆!』

『いいと思うけど…わからんな』

『これ、人によって色々変わってそう』


「それでは…、レンくんから、結果発表しますか」


「わかりました。……俺の数字は41です!」


俺がそういうと、パネルに数字が映る。


[41]


『あ、思ってたより高い』

『予想通り』

『高い気がする』

『まあ……、そのぐらいか』



「なるほどー、想像通りかな」


「私はちょっと高いかなって感じましたね…」


「私も少し高いって感じましたけど…、大体同じでしたね」


ま、まじか…。これでも高いって感じられてしまうのか……。…難しい。


「どんどんと発表していきましょうか。では、シズさん」


「はい!私の数字はー…52です!」


[52]


『これは大体同じだ』

『いいねー』

『ここまではあってるな』

『想像通りだ!』


「いい感じですね!」


「そうですね。レン君、シズさんとちゃんと、あっているので、いい流れだと思いますね」


もみじさん、ゆずき先輩と話していく。

よかったー。これで、俺よりも小さかったりしたら、俺が戦犯になってしまうからな…。

このまま、合っていることを願う。


「よかったー…!ちょっとこのテーマ難しかったから、心配だったんですよね」


「めっちゃわかります。俺も41の能力ってなんだろうってずっと考えてましたから…」


考えた結果、あれだったんだけどね。


「それは私もですね…。…このまま私が数字を言いましょうか」


ゆずき先輩がそう言う。

…このまま、うまくいってくれ。


「私の数字はですね…、80です」


『あ、思ってた以上だった』

『これ高くないか』

『俺はそれぐらいだけど』

『どうだろうなー』


「…おー、なるほど…」


ちょっと高い気がする…。

俺の感性的には、70ぐらいかなって思っていたのだが…。


「私は大体予想通りでしたね」


「私はちょっと高いかなって思いましたね…」


「私も難しかったんですよね……。あまり、こう言う能力というのを考えたことなかったので…」


そうか…。確かに、ゆずき先輩は特殊能力とか、超能力的なものをあまり考えていない気がする。

やっぱこういうのって、男が考えることだと思うしな。


「…でも、大丈夫じゃないですか?今のところ上手くいっていますし…、次はもみじちゃんだしね!」


「…そうですね。では、もみじさんに言ってもらいましょうか」


「…あまり、期待されると少し怖いんですけど…、わかりました」


さあ、最後のもみじさんだ。正直、もみじさんも80ぐらいだと思っていたから、ちょっと怖いんだよな…。

もしかしたら…、ミスっている可能性もあるはず。

頼む、上手くいっていてくれ…!


「では、言いますね……私の数字は…」


「「……」」


みんなが固唾を飲んで、シズさんの方を見る。

…緊張する。


「……82です!」


[82]



『うおー!!!すげーw』

『ギリギリで草』

『めっちゃ近かったんだな』

『すげー!…けど、俺外れたー!』

『流石だわ』


「…ということで…、成功です!」


「「やったーーー!!」」


「お見事ですね!」


練習に続いて、本番も上手くいくとはな…。

しかも、ゆずき先輩ともみじさんが結構近い数字の中での成功だからより嬉しい。


「私ともみじさんが結構近かったんですね」


「そうなんですよね…!私もゆずき先輩のを聞いた時、びっくりしましたもん」


…もみじさんからしたら、確かに驚きそう。

俺とか、多分顔とかに出ると思うからな…。


「けど、それでも成功できたんですから、本当によかったですね!」


「俺もそれは思います。しかも、練習に続いて2回目の成功ですし!」


「そうですね…!よかったです」


「よくやったと思いますよ!皆さん優秀です」


…ゆずき先輩にまた褒められた…。嬉しい。


「ということで、第一ゲームのitoは成功ということで……次のゲーム、第二ゲーム NGワードゲームの方をやっていきましょうか」


次はNGワードゲームか…。

今のは協力だったけど、次は敵対する感じになるのか。

だったら……、最後まで残ってやる!


———————————————————————


読んでくれてありがとうございます!


もし、誤字脱字等があれば、報告お願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る