第15話 それぞれの物語 side倉井静 part2
大学生になった。
高校生の頃とは違い、自分で履修登録をできるため、決まった時間に起きなくても大丈夫だし、なんなら朝早く起きなくても大丈夫な日までできた。
流石は、人生の夏休みとだけ言われているだけある。
まあ、これは私が文系でそっちの大学に通ってるだからであって、理系の方はそこまで楽ではないのだろうけどね…。
…言っておくけど、人生の夏休みだからと言って、勉強を全然しないとういうことはなく、ちゃんと勉強もしているからね!
遊びと勉強の両立だ!
「頑張らないとな…。夏休みには色々とやりたいし、バイトとかもしないと…。留年だけはしないようにね」
ちなみに、私は大学に入ってからも、高校の頃と同じように、自分から色々な人に話をかけていき、友達と呼べれる人も多少はできた。大学の帰りにショッピングモールに行ったり、映画に行ったりと遊びに行くこともある。ただ、やはり価値観が違ったりして、話しかけにくいという人もいたりもした。
もちろん、高校からの友達でもある二人とも、たまに遊んだりもしている。大学も違い、講義がある時間帯の違うため、高校の頃のようにたくさん遊ぶことはできないけれど、都合が合う時には、必ずと言っていいほどに遊びに行ったりしている。
この二人は高校からの付き合いというだけあって、気を使わなくてもいいから、遊んでて本当に楽しい。
…
大学に入って、少し時間が経過し、1年生の夏休みが終わった、大学一年生の後期。
大学にも慣れ始めて、バイトもやり始めた。
そして…私は夏休みにあることをやり始めた。
言わなくてもわかるかもしれないが…ボカロを作ることだ。作るためのパソコンは高校の頃に親からもらったものを使い、作るために必要なものもネットで調べて、いろんな箇所を回りまくって、集めてきた。
大学の夏休みはとても長いため、ボカロを作る時間はもちろん、バイトをしたり、友達と遊んだりする時間もたくさんとることができる。
「初めは難しいだろうけど、頑張るぞ」
そう生き込んだものの、やはり初めはとても難しく、自分の想像したような曲にするのにたくさんの時間を費やした。
やっとのことで、一曲だけ作ることができ、夏休みの終わりに投稿することができたのだが…
「…全然再生されてない…」
夏休みが終わって、今私はこんな状況になってしまっています…。
そう、夏休みの間に、作詞作曲等一人で頑張って作り、やっとのことで一曲だけ作れたのだが、全然再生されていないのだ。中には、少し心無いコメントもあり、少し精神的にもきている…。
私的には、とてもいい曲ができたと思い、意気揚々と投稿したんだけどな…。やっぱそう上手くはいかないか。
「…続けることが大事」
そうだ、ここで諦めていたらダメだ。自分の憧れのものでもあるんだから、たった一度のもので諦めてはいけない。それに、ここで諦めたら、ここから先、諦め癖がついたりする可能性だってあるからね。継続は力なり…!
「後期に入ったけど…、少しずつまた作っていこうかな!がんばれ、私!」
できれば…冬休み…いや、来年の春休みまでに二、三曲は作って、投稿したいな…。
私はそう意気込み、少しだけ歌詞を作り始めた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
時間の経過は早いもので、大学一年生が終わり、春休みに入った。
授業の中間テストや定期テストも、私的にはできた方だと思うから、多分留年することはないと思う。
大学によるのかもしれないが、私の大学は2年生の初めに行われるオリエンテーションまで春休みになっている。
最後の講義のテストが終わったのが、2月上旬、二年のオリエンテーションが4月上旬であるため、約2カ月もの間が休みになるということ。
私は夏休みと同じように、遊びやバイトをしながらも、ボカロを作ろうと思っていたのだが…
「ダメね…。少しは登録者数も増えてきたけど…、再生数が伸びない」
一番初めの頃に比べれば、少しは伸びているのだけれど…、うまくはいかないものね。
「…うーん、自分で聞いてみてもいい歌なのにな…」
ボーカロイドの声に合った感じに作詞作曲してみたのだが、自分で聞いていても、いい曲だと感じる。
しかし、これでも再生数は伸びない。
「はーーーー…、あの人の作ってるボカロ曲でも聴こっかな…。もしかしたら、新しい曲も出てるかもしれなしね」
ここでいうあの人というのは、私が少し前に知った、ルートというボカロpの方だ。
私がこの人のことを知ったのはたまたまで、色々なボカロ曲や、たまに歌ってみたなどを聞いている時に、偶然その人の作ったボカロ曲を聴き、この方の曲を好きになった。
曲調も好きだし、歌詞もいい、それに絵柄も綺麗に描かれているため、同じ曲でも何回も聴いている。
…そして、このルートさんのおかげで、私の運命は変わろうとしている。
「新しい曲は…ないか。いや、もしかしたらY(旧 ワイッター)の方で何か呟いてるかもしれないから後で確認しよっかな。今は…曲を聴こう」
もう何回目かわからないボカロ曲を私はもう一度聴く。
(〜〜♪)
あー、やっぱり、いい曲なんだよねー。
私もルートさんみたいな曲を作れるようになりたいなー。
そんなことを考えながら、私は違う曲も聴き始める。うん、ルートさんのボカロ曲はどれもいい。
それに、ルートさんはボカロ曲以外のアニソンとかもたまに書いたりしてるっていうのもすごいんだよな。ボカロ曲とアニソンとじゃ、曲調も歌詞も違うと思うのに、それでも作れているのは本当にすごいと思う。
(♪〜〜〜……)
「ふー、やっぱいい曲。少しYの方でもみようかな」
何か新しい情報もあるかもしれないしね。
「…え、本当に何か呟いてた。告知…?なんなんだろう…」
ルートさんが呟いていたことはこんな感じだった。
———————————————————————
◯ ルート(ボカロp)
告知
皆さん、いつも私のボカロ曲を聴いてくれてありがとうございます。
この度、vtuber事務所 ファミールの初めてのオリジナル曲 “family ruby”の作詞作曲をさせていただきました。
私も、昔からvtuberを見ている身として、一生懸命書かせていただいたので、ぜひ聴いてみてください
URL https:vvv//yyy…
———————————————————————
「vtuberに曲提供か」
vtuber。私もあまりよく知らないが、今人気になってきているのは知っている。なんか、海外の方を事務所に入れたり、一年前にデビューした子たちがすごく面白く、人気になってきているみたいなことをYで少し見た気がする。
「あんまり興味はなかったけど…、ルートさんが作詞作曲したものは気になる」
興味はなかったけど…これもいい機会かな。
せっかくだし、ルートさんの作詞作曲した曲を聴きながら、少しvtuberさんも見てみようかな。
…多分、この機会がなかったら、vtuberを一生見ない気がするし。
「よし、聴いてみようかな」
こうして、私は初めて、vtuberというものを知った。
…そして、これが私の運命を変える。
—————————————————————
(〜〜♪〜〜♪〜〜♪)
………
(〜〜♪〜〜♪〜〜♪)
………
(〜〜♪〜〜♪〜〜♪)
……
(〜〜♪〜〜♪……)
……
曲が終わった。
「………はー…」
…私が、family rubyを聴いて、思ったことを正直に言おう。
「神曲じゃん…」
うん、マジの神曲だった。ルビーさんが作詞作曲をしているというのもあるかもしれないけど…私が一番そう思った理由は違う。
「family rubyを歌ってる人たちの声が、私が思っていた以上に良かったな…」
えーっと、確か、ファミールに所属している古参組?見たいな人たちが歌っているんだけれど、男性2人と、女性3人の組み合わせが絶妙に合わさっていて、聴いていて心地よかった。
「…正直、vtuberというものを少し遠ざけていたど…、この曲を聴くと、少しだけvtuberに興味湧いてきたかも」
私は、歌ばっかり聴いていたり、ボカロを作っていたり、勉強したりと、あんまり、生配信や動画等を
見てきていなかったけれど、少し見てみたいと思い初めてもいる。
「……、少しボカロを作ったら、見てみようかな」
一年前にデビューした子たちがすごい面白いと聞いたから、その子たちを見るのがいいかも。
それか、今歌っていた古参組の皆さんを見てみるのもいいかもしれない。
「なんか…、少し楽しみが出来て、気が楽になったかも」
さっきまで、ボカロを書くことに色々悩んでいたけれど、それが少し緩和した。
やっぱり、歌というのは精神をリラックスさせるのにちょうどいいね。
それに、family rubyという神曲も聴いたのだから、その分も楽になったのかもしれない。
「よし…!書くぞ!」
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
…時の流れは本当に早いことで、私はもう大学3年生が終わろうとしている。
なんか、大学生になってから時の流れが以上に早く感じるんだけど…、これはなんなんだろう。
小学生、中学生の頃は早く大人になりたいと思っていたぐらい、時の流れというのは遅かった気がするのにな…。
まあ、今はこの話はどうでもいいか。
私は、大学2年、3年とフル単でいくことができ、取らなければいけない単位も残り少なくなってきている。本当に頑張った。この調子なら、4年も大丈夫そうで、就職先もなんとか決まりそうだ。
そして、私が約2年前に見だしたvtuberなんだけど…、
結果からいえば、激ハマりしましたね。本当に面白く、ほぼ毎日見ていると言っても過言ではないかもしれない。…もちろん、勉強とかもしていたからね。
私がvtuberに激ハマりした流れを説明すると…
まず、vtuberというものを知ってすぐは、切り抜き動画たるものを見続けており、私が一番初めに見た切り抜き動画は、シーズンというユニットのオフコラボの切り抜きであった。
その動画がとても面白かったのを機に、私は切り抜き動画を見続けていき…、いつのまにか、色んな人の生配信を見るようになっており、ファミールのメンバーも全員言えるようになっていた。
多分…私以外も、切り抜き動画を見続けていけば、全員のことを覚えれるようにはなると思う。
ただ、まだこの時までは、この人が一番好き、いわゆる一番の推しというものはいなかったのだが、とあるメンバーがあることをしているという事を知り、一気に私はその人に夢中になった。
その方の名前は、如月ユキ。
そして、なんとこの方……、作詞作曲をしていたの!
私はもう、とてもびっくりしたね。vtuberというのは、切り抜き動画や生配信を見るからに、雑談をしたり、ゲームをしたり、歌を歌ったりと、ここら辺をメインにやるものだと思っていたから、ボカロを作っている身からすれば、作詞作曲をしているというのを知った時は、本当に驚いた。
「曲もいいし…、歌詞もいいし…、歌も上手くて、声も綺麗だし…。ユキさんってすごいんだな」
この事実を知ってからはユキさんのことが気になりすぎてしまい…、気づいたらユキさんに夢中になっちゃいましてね…。切り抜き動画、生配信、ユキさんが作詞作曲した曲、それを歌うユキさんの動画など、ユキさんに関する動画を見まくりまくった。
ソロ配信ももちろん、コラボ動画だって見たし、公式配信に出ているものまで見た。
それに…、生誕祭ライブや周年ライブたるものまでアーカイブにあったから、それに関しては何周もした気がするよ。私が聴いたことのあるボカロ曲も歌っていたしね。
…それぐらい、私はユキさん…いや、ユキちゃんって呼んじゃおう、それぐらい、ユキちゃんにハマり、ファミールにハマったのだ。
正直…、ここまでハマるとは思ってなかったね。
ルートさんに大感謝。
こんなことを続けているうちに、今に至るという感じかな。
でだ、
私がずっと行なってきていた、ボカロの作成なのだが……
「登録者数…5万、平均視聴数…7万…」
めちゃめちゃ微妙な感じなんです…。始めよりかは、大分伸びたのが…、これで食っていけるかと言われると、ほぼ無理だろう。
「…どうしようかな…」
ボカロを作ることは好き。
達成感も得られるし、自分の好きな曲まで作れる、それをみんなに聴いてもらえる、嬉しいことだらけ。まあ…、色々と辛くなることもあるけどね…。
「…vtuber…ボカロp…」
…私の本音を言おう。
約2年間、vtuberというものを見てきて、vtuberになるのもありなんじゃないかと。
ユキちゃんのように、作詞作曲をすることも少しはできるから、そっち方面でも活躍できるvtuberに私ならなれるんじゃないかってね。
…けど、それで高校の頃に憧れた夢をあきらめてもいいのかなとも思ってはいる。
「…でも…、今のままじゃダメな気がするんだよな」
確かに、私は大学でも結構成績はいい方だから、どこかには就職することはできるとは思う。
けど…私としては、自分の好きなものを仕事にしたいんだよね。わがままだとは思うけど…。
「……!vtuberでありながらも、ボカロって作れるのかな…?」
これは…どうなんだろうか。
多分、今のチャンネルではもうダメかもしれないけど、vtuberの自分のチャンネルであれば….。
これがいけるのであれば…、私は夢を続けながら、好きなものにもなれるということ。
まあ、そう上手くいくかはわからないけどね…。
「やってみる価値はある気がする」
今はまだ、大学だからダメだけど、卒業して、一応内定を保留にしておきながら、もし合格したら、vtuberになるのもいいのではないか?
「一旦…、ファミールの事務所にボカロを作ることがありかどうかの手紙でも送ってみようかな」
それの返答次第で、私は一年後くらいに、応募をするだろう。
「もし、これでボカロを作っていいと言われたなら…、私はvtuberになる…!」
そう、自分の好きなもののため、かつ自分の憧れのもののためにね。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
一年後…
私は今……、vtuber事務所ファミールを背に、歩いています。そう…ファミールの新人応募の面接のために、訪れていたのだ。
うん、もう、わかっているかもしれないが…、ファミールからの返答は、ボカロ曲を作っても大丈夫とのことだった。ただし…、もし合格し、vtuberになったのなら、ちゃんとvtuberとしての仕事もするということ。そして、ちゃんと事務所に許可を得てから作ってくれということ。
この二つにだけ気をつけてくれれば大丈夫と書いてあった。
私はもう、この返答を聞いた瞬間に、ファミールに応募しようと決めていた。
そしてその約一年後に…、書類を送り、それが…なんと通過できてしまったのだ。
「…いやっっっっったーーーー!」
私は、この封筒が届いて時、本当に嬉しかったね。
私がvtuberにハマった当時よりも、今はvtuberというものが世間一般的に有名になっていたから、その分倍率も高くなっていると思っていたからね。
誰かの切り抜きでみたけれど…、倍率が約2000ぐらいあったとか…。
だから、本当に嬉しかったね。
そして、今さっき面接を終えて、ファミールを背に歩いている時だ。
「はー……緊張した……、面接は就職の時とかにもやったけど、一番緊張した気がする…」
そう、ファミールに応募しようと決めていたけれど、一応就職できるように、色んな会社に行き、内定をもらっていた。さっきも言ったけど、倍率2000だからね?これはもう、ほぼ落ちるって思ってるから…。
「いや…、緊張はしてけど、私としてはいい出来だとは思うから…。私の力作でもあるボカロを作って、それを聴いてもらえたし…。もしかしたらがあるかもしれない」
ここで弱気になったらダメ。自分の夢のために頑張ったんだから、ポジティブにいこう。
「合格していますように…!」
私は、そう願いながら、家に帰っていった。
……
本当は…とても不安だった。それを抑えてポジティブになっていたからね…。
だから…
合格したという封筒を見た時は本当に嬉しかった。
「………!?…ヤッタ……ヨカッタ……」
もう声もほとんど出なかったぐらい嬉しかったね。
多分、この時涙も少しでていたと思う。
それぐらい、本当に嬉しかった。
こんな経緯で、私はファミールに合格することができたの。
え?話が長いって?
それは…、しょうがないでしょ。
「もう少ししたら、私もvtuberか…。忙しくなりそうだなー。切り抜きとかでよく、ファミールのメンバーみんな忙しそうだしね…。高校の頃の二人には、後で言っておこうかな」
二人はvtuberというものを知っているのだろうか?
結構人気になってきているから、少しは知っているとは思うが…。
まあ、知らなくても、見せてあげれば二人ならすぐハマりそうだしね。
「一週間後の、土曜日にファミール事務所か」
多分、ここで同期となる人と会ったり、色々と決めるんだろうな。
同期となる人たちも、倍率約2000を生き残ってきたと考えると、何かしら特技だったり、良いところがあるんだろうな…。そこに私が入ると考えると…、少し不安。
…だけど、私はポジティブにいく!高校や大学のようにできるだけ明るく!
来週が楽しみだなぁ。
…こうして、私は伊東蓮くん、紅葉沙耶さんと出会うことができた。
———————————————————————
読んでくださりありがとうございます。
めちゃめちゃ急いで描いたので、もしかしたら辻褄が合わなかったり、誤字脱字があったりすると思うので、あれば教えてください。
また、もう一つのside話ですが…、長くなったので、また機会があれば書こうと思います。
そして…!もうすぐ星評価が200いきます!
年内300いけたらいいなと思っていますので、よろしくお願いします!
ハート評価450もありがとうございます!
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