第14話 それぞれの物語 side倉井静 part1

遅くなってごめんなさい!

こちらの諸事情で、11月は投稿頻度が遅くなってしまいそうです…。申し訳ないです。

けど、少しずつ書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。


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side 倉井静



「ねー、静!モデルになりなよ!」


「そうだよ!背も高いし、声もいいんだからさ!なんなら、声優にもなれたりして?」


「モデル兼声優とか絶対儲かるしモテるんだろうなー」


「いや…そんなことないよ。他の人に比べてもスタ

イルよくないし…、声優とかもよくわかってないしさ」


私が高校3年生の頃、よく女友達と色々なことについて話していたが、一番印象に残っていたのはこの話しだろう。

高校3年生ということもあり、よく将来の話をしていた。


私はよく、『背が高いね』『モデルさんみたい』『声がいい』などなどと言われていた。言われるたびに、「ありがとうございます」的なことを言っていた気がするが…

自分ではそんなこと全く思っていなかった。


「いや、絶対向いてるね!どっちかには絶対なれるって!」


「そうよ!静ならいけるって!」


「えー…そうかな…」


…ただ、友達にずーっと同じようなことを言われてきたためか、すこーしだけ、もしかしていけるのでは?みたいなことを考えるようにもなってきた。

まだ、将来の夢も決まっていないし、ここまで友達も言ってくれてるんだから…挑戦するのもありなんじゃないか、と。


…うん、今でも思う…流されやすい女だと。


けど、まあ…

やっぱり、自信もあるわけではないし、将来の夢も決まっていないけれど…

好きなものというか…、憧れているものはある。


(ボーカロイド…いや、それを書く、ボカロpは少し気になっているんだよな)


世間一般から見たら、もしかしたら、ボカロpよりもモデルになった方が良いのではと考える人もいるかもしれないが…

今の私があるのは、あるボカロとその歌詞のおかげだと思っているから、私はそんなこと全く思わない。



私がボカロを好きになったきっかけは、高校1年生の頃。今の私は友達もいて、結構明るい性格をしているけれど…、高校に入ってすぐは、全然馴染めていなく、家でよくネットに浸っていた。私は中学の頃から人見知りで、自分から話しかける勇気がなく、いつも話しかけられるのを待っていた。中学の頃はそれが上手く行っていたけれど…高校ではそれが上手くいかなかった。

だから私は、高校ではあまり話さず…家では、ネットを漁りまくっていた。そして、色々と動画を見たり、調べたりして行き着いた先が、ボカロという物だった。

初めは…正直、高めな声で少し苦手な声だったけれど…歌詞をよく聴いてみると、めちゃめちゃいいことを言ってくれていたり、曲調も良かったりしたから、私は色々な曲を聴きまくっていた。そのおかげか、声の方にも慣れて、今ではボカロ曲自体を楽しんで聴くことができている。


「うーーーん…、ごめん、モデルも声優もやめとくよ」


少し悩んだのは本当だ。ここまで言ってくれてるんだしね。

…けど、私自身そういう職業について何も知らないし、自信もそこまであるわけじゃない。

なら、今は高校3年生らしく勉強をして、なんらかの機会があればボカロpについて詳しく調べていって、少し書いてみるっていうのもありだろう。

卒業してすぐ、ボカロp になるのは…少し危ないと思うから、どこかいい大学に通って、別の将来について考えながらも、ボカロpについて勉強していこうかな。

それが一番良い気がする。


なんか、友達には少し申し訳ないけど…。


「えーーー!…まあ、静がそういうならしょうがないか…」


「絶対行けると思ったのになー」


「ごめんね、そこまで言ってくれてるのに」


「いや、全然いいよ。こっちが一方的に言ってるだけだしね!」


そういいながら、友達は少し苦笑いをする。


「そうだね。それに、静にも何かやりたいこととかもあるだろうしね。それだったら、そっちを優先した方がいいよ!私だってやりたいこととかあるしね」


もう一人の友達もそういい、笑顔をこちらに向けてくれる。


「うんうん!…なんだったら…私がモデルになっちゃおうかなー?」


「お、だったら…私は声優かな…?」


「ふ、二人とも…、二人も自分のやりたい職業についた方がいいよ…。けど…、二人が目指すんだっっら、私も目指しちゃおうかなー」


「え?!それじゃー意味ないってー…」


「うふふ」


「あはは」


あー、やっぱり二人といると楽しいし、居心地もいいな。いろんな冗談だって言い合えるし、いつも笑顔にさせてくれる。

…本当にいい友達を持ったな。


私が初めてできた友達が二人でよかった。


………


……



高校一年生の頃に話かけたのが二人でよかった。



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私がとあるボカロにハマったのは、ボカロというものを知って少しした頃だった。


いつものように高校から帰ってきて、ネットに浸ろうと思っていた時に、あるボカロがアップロードされいたのだ。

その曲は、複数のボーカロイドたちが歌っていて、少し合唱っぽいものだった。

そして、これはたくさんの歌い手さんたちによる歌ってみた動画もアップロードされており、ネット界隈では大盛り上がりをしていた。


その曲の名前は、”benediction ”。


意味は祝福という意味があり、歌詞にも、『この世界に生まれてきてくれてありがとう』や『君に幸せが来ることを願っています』『日々の中に、幸せはある』『もしかしたら、いいことがあるかもしれない』など様々な、感動する言葉が入っている。


私も初めは、少し気になるなーと感じて、興味本位で聞いたのだが…、

この曲が私を今の私に変えた。


この曲を聞いて、私は考えた。

今、私は幸せなのかなと。確かに、家に帰って、家族と少し話して、ネットに浸って、ボカロを聴くだけでも少しは幸せに感じはする。

けど…やっぱり、高校でそう感じたりすることはなかったのだ。


「高校…、このままじゃやっぱり良くない気がする」


高校での私は、誰にも声をかけることができなく、友達がいない状態だ。

これがずっと続くのは…、流石に良くない気がする。

それに、最後の方の歌詞には、『一緒に笑おう』という言葉があるのだが、私には…そういう相手が高校にいない。


幸せとは何か。この質問を聞かれたら、多分一人一人違う答えを持つだろう。

ご飯を食べる時、寝る時、友達と遊んでいる時、彼氏彼女といる時、家族といる時…

答えは様々あるだろう。

けど、私だったらこう答えると思う。


家族や友達と一緒に笑っている時。


他にも幸せに感じることはあるけれど、これが私が一番幸せに感じる時だと思う。


………あー…、今思うと、高校ではそれが全然できていないじゃない。

中学の頃までは、それがうまくできていて幸せだったけれど、高校に入ってからは、それを感じなくなっている。

なんで、さっきの質問に、一緒に笑うことと言っておいて、友達を作ろうとしなかったんだろう…。

…いや、私にその勇気がなかっただけか。



けど、今なら…ボカロのbenedictionとその歌詞のおかげで、その勇気が出る気がする。


「このままじゃダメ…、…よし!」


明日から…、少し人に話しかけてみようかな。




こうして、私が勇気を出して声をかけたのが、今の友達二人であった。


正直…、声をかけるまではめちゃくちゃ緊張していた。二人は、高校入ってすぐ友達になっていたらしく、自分なんかが入れるのかなって思っていたりもした。

けど…たまに、二人の会話を聞くと、本当に気が楽そうに会話をしていて、誰かを馬鹿にする内容だったり、不純すぎる内容だったりも話していなかったから、この二人ならと感じてはいた。



だから…声をかけて、友達になってくれると聞いた時は本当に嬉しかったな。




「あ、あの!」


「うん?どうしたの?」


「確か、倉井さんだったっけ?何かあったの」


「そ、その…あ、あの……、と、友達になってくれませんか?」


うん、今思うとど直球だね。

けど…、あの時の私はこの言葉しか言えないくらい緊張していたからな。


…………


だから、空白の時間があった時は、心臓がはち切れそうだったよ…。



「うん、いいよ!私ももう少し友達欲しいと思ってたし!」


「うんうん!私も少し倉井さんのこと気になっていたから、全然大丈夫!」


「…え?本当…ですか?」


「ほんとほんと。さ、せっかく友達になったんだした一緒に話そうよ!まだわたし倉井さんのこと何も知らないし」


「あ、それと!敬語も大丈夫だからね?友達なんだし」


「え?!わ、わかりまし…、わかった」



こんな感じで、二人とは友達になった。

そこから、高校2、3年とも一緒のクラスになることができて、ほとんど一緒に過ごしていると言ってもいい。

それに、二人のおかげで、少し人見知りもなおってきて、少しずつ他の友達もできていったりもした。

まあ、大体二人と一緒にいるけどね。

けど、今の自分になれて私は、たくさんの幸せを感じることができていると思う。








「あれ?静、なんか考え事?」


「うん?いや、少し昔のことを思い出してて」


「昔って」


「高校一年の、私達が友達になった時のこと」


「あー、それかー。懐かしいなー」


「ほんと。あの時はびっくりしたけど…、今思うと、友達になってよかったって本当に思うよ」


「それは、私もだよ。勇気出してよかったって今でも思ってる」


「そうだね!…大学は三人とも別々だけど…、私達は友達だよ!」


…そう、私達三人は別々の大学を受験することになっている。

それぞれやりたいこと、得意なこと、頭の良さなどが違うため、大学も別々のところになっている。


…もうすぐ、それぞれ別々になると考えると悲しくなるな。


「…うん、卒業しても友達」


「そうだね、また三人で遊びに行こうよ!」


「うん!」



そんなことを話していたのも束の間。


私達は、それぞれ第一志望の大学に受かり、高校を卒業した。

卒業式の時は大泣きしながら、三人とまた遊ぼうと何回も約束した。


そうだ、会えない訳じゃない。

だから…私も大学を頑張りながら、憧れのものを目指していこう。


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書きたいことをたくさん書いていたら、めちゃくちゃ長くなってしまいそうだったので、一旦ここで区切ろうと思います。


vtuber要素が…ゼロでしたね。


次は、静がvtuberを知るまでと、合格するまで。

また、書けそうだったら別のサイドも書こうと思います。

それが終われば、主人公視点に戻ります。


また、誤字脱字があればよろしくお願いします。

そして、いつもコメントをしてくれる方も本当にありがとうございます。ちゃんと見てます!

評価のほどもよろしくお願いします。























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