第48話 学園調査紀行

「足立さん、ですか?」

「そうなんだよ。楠木さん」


 翌日になり、学校の自動販売機の前で、両助と楠木薫はいた。

 缶ジュースを一口飲んだ薫は、肩にかかった長髪を撫でる。


「足立さんのこと知りたいな~」


 考えてくれている薫に両助はごますりをしながら言う。


「足立さんなら、いつも進藤君を含めたグループでいますね」

「やっぱりそうだよね~」


 ガシャコンっ、とスポーツドリンクが取り出し口に落ちた。

 ボトル口を開けた両助は、こくりと飲料を飲み込んだ。


「あの……なぜ、なんでしょう?」


 薫は両助の傍らで、怪訝な表情をした。

 両助は、どう説明したものかと、難しい顔をしていると、

「あっ……そういう……」と薫は、はっとした表情をした。


「足立さん、良い人ですよね。綺麗で、優しくて、おしとやかで」


 本当にそうかな?

 あの人の素を知れば、この子はいったいどうなってしまうのか。


 どうコメントしていいのかかわらなくなった両助は、言葉を探しあぐねていると、

 薫はぐっと握りしめた両手を前に出して


「わかりました!任せてください!」


 何が?


「何が?」


 喉に詰まった居心地の悪さと共に飲料を飲み下そうとしたが、あまりにも会話が飛躍に中断した。


 薫は確固たる意志を胸に、熱い眼差しでこう答えた。


「調査です!」

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織田信長、高校生に転生する @koukou102157

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